角膜輪部に存在する幹細胞が消失して、正常な角膜上皮が供給されなくなることで角膜上に結膜組織が進展し、瞼球癒着(眼球とまぶたの癒着)が生じる希少疾患である角膜上皮幹細胞疲弊症にはこれまで有効性の高い治療法が存在しなかった。しかし2022年、新たな指定再生医療等製品として口腔粘膜由来上皮細胞シート(以下、上皮シート)が薬事承認を取得したことで、同疾患を取り巻く状況は好転しつつある。同疾患の専門家である、京都府立医科大学眼科学教室教授の外園千恵氏に、同疾患の病態や最新の治療法である上皮シート移植術などについて話を聞いた。