「研修医誤診」をめぐる日赤、報道、日医の罪

まかり通った印象操作

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

目を疑った朝日新聞の見出し

 6月18日付の朝日新聞夕刊社会面の記事「研修医が誤診、16歳死亡」を見て目を疑った。その他の新聞もネットメディアも「研修医の誤診」を前面に出した見出しを付けている。研修医は誤診をするものである。「人が犬を噛んだ」はニュースになるが、「犬が人を噛んだ」はニュースにはならない。

 どうして大手新聞社が「研修医の誤診」をニュースとして扱うに至ったのか。せめてわれわれ医療者は、若者の命、夢見ていた未来が突然奪われてしまったという現実に目をそらすことなく真摯に、かつ科学的に向き合うべきである。この事例の本質が「研修医の誤診」に矮小化された背景を慎重に検証すべきである。

川口 浩(かわぐち ひろし)

1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。2019年、東京脳神経センター・整形外科脊椎外科部長。2023年、社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院・整形外科顧問。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。Peer-reviewed英文原著論文は340編以上(総計impact factor=2,032:2023年7月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa Delta Awardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G. Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の整形外科の「大樹」も「長いもの」も、公正で厳然としたものであることを願っている。

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