マイクロ/ナノプラスチックと非感染性疾患

健康に必要なのは、MNPs非含有の空気・水・食物

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:世界のNCD負担は、環境汚染によって増幅

 今年(2024年)4月15日掲載の本連載でマイクロプラスチックおよびナノプラスチック(MNPs)を取り上げたところ、週刊現代の取材を受けることになった。週刊現代6月22日号に「米名門医学誌の論文に医学会騒然! ペットボトルと脳卒中リスク これぞまさに『現代社会の病』だ」という5ページの記事でプラスチック問題が大々的に取り上げられた。(関連記事「マイクロ/ナノプラスチックよ、お前もか!』)

 非感染性疾患(non-communicable disease;NCD)は、世界的に最も多い疾病負担の1つであり、標的器官の炎症反応との関連が指摘されている。一方で、MNPsへの曝露がヒトに多大な悪影響を及ぼすというエビデンスが増えている。

 NCDの発生率は世界的に上昇しており、4つの主要なNCD〔心臓発作や脳卒中などの循環器疾患、がん、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)や喘息などの慢性呼吸器疾患〕は、毎年全世界における死亡の71%を占め、今後20年間で30兆ドルを超える経済的影響が予測されている。NCDによる障害や死亡、医療システムに関連するリスクとコストは、環境汚染によって増幅することが知られており、公衆衛生に悪影響を及ぼす。

 Cell Report Medicine誌から、「The potential of micro- and nanoplastics to exacerbate the health impacts and global burden of non-communicable diseases(MNPsがNCDによる健康への影響と世界的な負担を悪化させる可能性)」というレビューが出たので紹介する(Cell Rep Med 2024; 5: 10158)。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

済生会熊本病院脳卒中センター特別顧問。1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科、2022年より現職。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中で多彩な活動を行っている。日本脳卒中学会名誉会員、日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

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