次世代の抗凝固薬「第Ⅺ/Ⅺa因子阻害薬」はどうなった?

Abelacimabの第Ⅱb相臨床試験AZALEA-TIMI 71

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研究の背景:次世代の抗凝固薬が待ち望まれていた

 2010年代前半に直接作用型経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant:DOAC)が登場して、心房細動患者における脳梗塞や全身性塞栓症の発症予防・再発予防が大きく変わった。DOACは、ワルファリンと比べ薬物相互作用が少なく、モニタリングの必要がない。また、イベント発生率が同等あるいは低く、頭蓋内出血が半減する。ただし、消化管出血などの問題が残った。

 こうした背景から、出血合併症がさらに少ない次世代の抗凝固薬の登場が待ち望まれていた。そこで、DOACの次に注目されたのが第Ⅺ/Ⅺa因子阻害薬である。

 abelacimabは、不活性型の凝固第XI因子に結合し、その活性化をブロックする完全ヒトモノクローナル抗体である。心房細動患者における同薬の安全性を、リバーロキサバンと比較した第Ⅱb相臨床試験AZALEA-TIMI 71の結果が発表されたので紹介する(N Engl J Med 2025; 392: 361-371)。

橋本 洋一郎(はしもと よういちろう)

済生会熊本病院脳卒中センター特別顧問

1981年鹿児島大学医学部卒・熊本大学第一内科入局、1984年国立循環器病センター、1987年熊大第一内科、1993年熊本市民病院神経内科、2022年より現職。専門は脳梗塞、頭痛、禁煙支援、リハビリテーション、医療連携。急性期病院の医師として脳卒中診療ネットワーク構築の中で多彩な活動を行っている。日本脳卒中学会名誉会員、日本頭痛学会・日本禁煙学会の理事。

橋本 洋一郎
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