維持透析患者の終末期緩和ケア
国際研究と日本における在宅医療の戦略的展望
研究の背景:終末期腎不全医療の体制整備は喫緊の課題
わが国の高齢化の進行は、慢性腎臓病(CKD)の有病率を著しく増加させている。以前は8人に1人とされていたCKD罹患人口は、現在では5人に1人に修正されており、加齢が進行因子であることから、80歳の高齢人口においては実に2人に1人がCKDであると推計されている。これに伴い、慢性維持透析患者も高齢化し、70歳以上が全体の50%を超過している。
高齢透析患者は、CKDに加えて多くの合併疾患を抱えるため、終末期には多領域にわたる疾患管理と統合された緩和ケアが不可欠である。しかし、専門医制度による医療の細分化は、腎臓病という高度な専門性を持つ透析患者群において、終末期緩和ケアの提供を困難にする構造的課題を生じさせてきた。ノンフィクション作家である堀川惠子氏の著書『透析を止めた日』(講談社、2024年)においても、緩和ケア体制や医療介護体制に関する情報不足が指摘されている。
この課題に対応するため、今年(2025年)9月には日本腎臓学会、日本透析医学会、日本緩和医療学会の3学会が協働で作成した「腎不全患者のための緩和ケアガイダンス」が公表されるなど、終末期腎不全医療の質の向上に向けた体制整備は喫緊の課題となっている。近年、各学会において腎不全患者の高齢者、終末期、緩和、在宅医療に関連する演題が急速に増加しており、関心の高まりが表れている。
今年11月に発表されたカナダ・オンタリオ州の維持透析死亡者集団を対象とした疫学研究で、Bonaresらは終末期緩和ケアの提供状況とその関連要因を分析しており、終末期緩和ケアの国際的な実態が明らかとなった(Am J Kidney Dis 2025; 86: 594-604)。
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