【前編】スウェーデン式新型コロナ対策の「真実」

スウェーデン・カロリンスカ大学病院泌尿器外科 宮川 絢子

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 2020年7月21日時点でスウェーデン(人口約1,000万人)における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡者数は5,646人を超え、人口100万人当たりの死亡者数は約560人となった。この数字は日本の70倍以上に上り、世界でも5番目に高い。スウェーデンは他国に追従せず、「ロックダウン(都市封鎖)を行わない」という戦略を取ったこと、世界でもトップレベルの死亡者数を記録したことにより、COVID-19対策は失敗したと批判する論調がほとんどである。スウェーデン語の情報が誤って英文記事に転載され、それがそのまま和訳されて報道されるケースが多いため、「高福祉の国」として知られるスウェーデンは日本でも袋叩きに遭っている。日本語によるスウェーデンの記事の大半が誤った情報を掲載しているのを目にすると、なんとも複雑な思いになる。本稿では、スウェーデンの医療政策とそれを支える国民のコンセンサス(前編)、ロックダウンに踏み切らなかった理由と実態(後編)について論じる。

宮川 絢子(みやかわ あやこ)

スウェーデン・カロリンスカ大学病院泌尿器外科勤務。

1989年、慶應義塾大学医学部卒。同大学耳鼻咽喉科、麻酔科、泌尿器科で研修後、1996年に泌尿器専門医資格を取得。1996〜2003年、琉球大学に勤務。この間、カロリンスカ研究所および英・ケンブリッジ大学でポスドク。2007年にスウェーデンに移住し、翌年、スウェーデンの医師免許、2009年にはスウェーデンの泌尿器科専門医資格を取得。2008年から現職。

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