薬剤師のための皮膚科処方箋/白癬の処方箋
研究所所長(監修)
だんの皮フ科クリニック 段野 貴一郎

足白癬(水虫)治療に対する抗真菌外用剤とステロイドの同時処方例
疾患
乾燥・落屑と湿潤・浸軟を伴う足白癬
- 足底には乾燥・落屑病変がみられる
- 足指間には湿潤・浸軟病変がみられる
処方意図
- 乾燥・落屑病変を伴う足底には抗真菌外用剤を塗布させたい
- 湿潤・浸軟病変がみられる足指間は、かぶれやすくなっており、抗真菌外用剤を用いると接触皮膚炎を起こす可能性がある。まずはステロイド外用剤で炎症を抑え、乾燥を図りたい
- 医師が患者に次回受診を促し、そのときに足指間が乾いていることを医師が確認し、ステロイド外用剤から抗真菌外用剤に切り替える。そのため、処方箋には切り替え時期まで書かれていない。患者が忙しく来院できない場合は、切り替えを患者に委ねることもある。切り替えはジュクジュクがなくなり乾いたころ(1~2週間後)

ルリコン®クリーム1%とリンデロン®-VG軟膏0.12%の要点
薬剤:ルリコン®クリーム1%
- 一般名:ルリコナゾール
- イミダゾール系の抗真菌外用剤
- 表在性皮膚真菌症に対して広い適応
薬剤:リンデロン®-VG軟膏0.12%
- 一般名:ベタメタゾン吉草酸エステル/ゲンタマイシン硫酸塩
- ステロイド(strongランク)と抗菌剤の合剤
その他のポイント
抗真菌外用剤と、白癬には禁忌のステロイド外用剤が同時に処方されている
患者さんにこうやって伝えよう!
- 足底にはルリコン®クリームを1日1回塗ってください
- 症状のあるところだけでなく、症状のない部分も含めて足底全体に薄く塗ってください
- 一度にたくさん塗ったり、1日1回以上塗ったりしても効果は同じです
- ジュクジュクしている足指の間には、リンデロン®-VG軟膏を1日2回塗ってください
- リンデロンは水虫菌を殺す薬ではなく、ジュクジュクをなくすために処方されています
- ジュクジュクが治まり乾燥したら、水虫薬を使うはずですから、医師の指示通り再診してください
Dr.Dannoのコレは覚えておきたい!
白癬の種類
白癬菌は、皮膚や爪の中に寄生する皮膚糸状菌です。白癬は病変の発生部位によって、足白癬(水虫)、手白癬などに分類されています。

治療方針
●抗真菌外用剤か経口抗真菌薬を使います
●抗真菌外用剤には複数の種類があります
- 主剤の使い分けに確固たる決まりはありません。効果がなければ変更します。
- 一般には、クリーム基剤が使われる傾向があります。液剤はサラッとして使用感はよいですが、傷があるとしみることがあります。液剤はクリーム基剤と比較して一般に浸透性が劣りますが、部位別でみると足底では浸透性がよいといわれています。
●誤った診断でステロイド外用剤を使い続けると、症状が悪化するので要注意です
白癬の種類と治療薬
抗真菌外用剤とステロイド外用剤の同時処方
- 一般的には、白癬にステロイド外用剤を用いることは、症状が悪化するため、避けなければいけません
- しかし、高度の湿潤・浸軟(炎症)を伴う白癬や接触皮膚炎を併発している白癬には、まずステロイド外用剤でこれらの症状を治すことがあります
- 患部が乾燥し、かぶれが治癒したら、抗真菌外用剤を開始します
生活指導
- 清潔が大切です。石鹸を泡立て、患部をやさしく洗ってください
- 洗ったあとは、よく乾かしてください
- 軽石で強く擦るなど、皮膚に傷をつける行為は厳禁です
この症状にピンときたら受診勧奨!
- 爪に白濁・肥厚の症状がある場合は、爪白癬の可能性があります
- 手の溝に強い荒れが見られる場合は、手白癬の可能性があります
"ジュクジュクしているとき" というコメントが今回の処方箋のミソ。薬剤師さんの、服薬指導の腕の見せ所です!患者さんに、医師の指示(再診が指示されているのか、切り替え時期を患者にまかされているのか)を確認してください。診察室で医師は伝えているはずなのですが、患者さんはすべてを理解しているとは限りません。ステロイドを水虫の薬と思い込み、塗り続ける可能性があります。ぜひ確認を!
Column - 爪白癬に対する外用療法
適応
- 爪表面が白濁している程度の軽症例
- 抗真菌薬を内服できない状況
方法
- 爪表面、爪周囲、爪の根元に丹念に塗り込みます
- 液剤は垂らすだけでは効果は出ません。指先でしっかり塗り込みましょう
- 抗真菌外用剤の効果をアップさせるために、角質軟化剤を併用することもあります
前回の「腎透析患者の瘙痒治療」はこちら
次回の「帯状疱疹の処方箋」はこちら
[PharmaTribune 2013年5月号掲載]

監修者 ● 段野貴一郎 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
皮膚科からの患者さんに「このステロイドって強いの?体に悪くない?」と突然相談されて、答えに困ってしまったことはありませんか?ステロイド外用剤による治療は、薬の適切な使用がなにより大切。患者さんに尋ねられた時の薬剤師の対応が、その後の服薬コンプライアンスを左右するといっても過言ではありません。「皮膚科処方箋研究所」では、皮膚科処方箋の読み解き方と外用剤の服薬指導を経験豊富な皮膚科専門医がお教えします。
【略歴】
1975 年 京都大学医学部卒業
1977 年 カリフォルニア大学留学
1984 年 京都大学医学部皮膚科講師
1987 年 天理よろづ相談所病院皮膚科部長
1992 年 滋賀医科大学皮膚科准教授
2008 年 滋賀県栗東市にてだんの皮フ科クリニック」開院
皮膚科の薬剤をもっと学びたい人に・・・
ここがツボ!患者に伝える皮膚外用剤の使い方 改訂2版
著 段野貴一郎(だんの皮フ科クリニック)
B5判・148頁 定価(本体3,400円+税) ISBN978-4-7653-1569-2
http://www.kinpodo-pub.co.jp/shosai/e1811-1569-2.html

保湿剤、ステロイド、免疫抑制外用剤・・・さまざまな処方箋を例に、段野医師が処方意図の読み方と服薬指導のコツを解説します。処方鑑査のポイントや外用剤の製剤特性など、薬剤師であれば知っておきたい外用剤の基礎知識を、わかりやすく紹介。読んだ次の日から実践できる、即戦力の一冊です。
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