重症市中肺炎に全身性ステロイドはありか?

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研究の背景:軽症の市中肺炎に対するエビデンスはない

 約半年前にこの連載で、「市中肺炎に全身性ステロイドは容認されるか?」という記事を書いた。当時のメタ解析では、全身性ステロイドと全死亡率の間に関連はないことが示されており、ルーチンで市中肺炎に全身性ステロイドを使う必然性はないという趣旨の解説を行った。

 今回紹介するCAPE COD研究(N Engl J Med 2023年3月21日オンライン版)は、この考え方を覆す可能性を秘めている。

 軽症の市中肺炎に全身性ステロイドを使うエビデンスはないが、例えば急性呼吸窮迫症候群(ARDS)に関しては、早期の全身性ステロイドによって生存率が上昇する可能性が指摘されている(Intensive Care Med 2021; 47: 521-537)。そのため、一定以上の重症度であれば、全身性ステロイドがポジティブに作用するのでは、というのは臨床でも実感されるところである。

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