【速報&解説】膝OAに初の革新的新薬が登場!
Lorecivivintを日本の患者に届ける最短・最善の方策は?
速報:初めて軟骨保護・再生作用(DMOAD効果)を実証
4月18~22日にオーストリア・ウイーンで国際変形性関節症学会(Osteoarthritis Research Society International: OARSI)が開催された。同学会において米・Biosplice社は、変形性膝関節症(膝OA)患者に対するlorecivivint(CLK2/DYRK1Aキナーゼ阻害によってWntシグナルを抑制する低分子化合物)の長期第Ⅲ相試験OA-07が成功したことを発表した。同社は同時にプレスリリースを行った。
OA-07試験は、従来の膝OA関節内注射薬のアウトカム評価に用いられてきたWOMAC painおよびWOMAC functionスコアに加えて、X線画像上の関節幅(medial joint space width;mJSW)をアウトカムとして2年間にわたって施行した大規模なものである。前者は疼痛や機能に対する対症療法(symptom modification)の評価指標、後者は軟骨保護・再生作用を示す原因療法〔structure modification=disease modifying osteoarthritis drug(DMOAD)効果〕の評価指標である。
OARSIで発表されたOA-07試験の結果によると、lorecivivint(半年から1年に1回の関節内注射)は、WOMAC painおよびWOMAC functionスコアのみならず、X線画像上のmJSWにおいても、プラセボと比較して有意な改善効果を示した。この結果は世界のOA研究者のみならず整形外科医の間で大きな話題になっている。世界で初めて厳正な臨床試験によって、膝OAに対して軟骨保護・再生作用(DMOAD効果)を実証したことは、世界のOA研究のブレークスルーといえる。
DMOAD効果と鎮痛効果の双方を長期にわたって発揮する画期的な薬剤の登場は、今後の膝OA治療に大きな革新を起こすことが予想される。今回は昨年(2023年)12月に発表されたlorecivivintの論文(Rheumatol Ther 2023; 10: 1741-1752)を切り口にして、この薬剤の意義に迫りたい。併せて、せっかくの革新的新薬なのに、日本導入の道が塞がれている理不尽な現実を紹介し、日本の患者に届けるための最短・最善の方策を提案したい。
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川口 浩(かわぐち ひろし)
1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。2019年、東京脳神経センター・整形外科脊椎外科部長。2023年、社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院・整形外科顧問。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。Peer-reviewed英文原著論文は340編以上(総計impact factor=2,032:2023年7月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa Delta Awardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G. Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の整形外科の「大樹」も「長いもの」も、公正で厳然としたものであることを願っている。
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