うつ病もモノクローナル抗体で免疫治療?
研究の背景:うつ病における炎症の役割が注目
現在日本で用いられている抗うつ薬は、ほとんど全てセロトニントランスポーター阻害作用などを介して、セロトニン・ノルアドレナリンを増加させるという作用機序を持っている。しかし、これらの抗うつ薬が奏効しない患者も少なくなく、新たな作用機序の抗うつ薬が待たれている。
抗うつ薬の点滴静注後には、直ちに脳内でセロトニンが増加しているはずなのに、気分の改善は数週間後にやっと生じるというギャップがある。そこで、抗うつ薬を投与してから3週間後に脳内で何が起きるかを探索した結果、脳由来神経栄養因子(BDNF)の増加が見られることが分かった。ストレスにより海馬などで樹状突起スパインが減少するといった知見と合わせ、うつ病では海馬や前頭葉などでシナプスが減少しており、抗うつ治療はBDNF増加を介して、シナプスの減少を改善すると考えられるようになった。
そして、このストレスによるシナプス減少には、ミクログリアが関与すると考えられるようになった。うつ病患者において炎症関連マーカーが上昇していることと合わせ、うつ病における炎症の役割が注目され、免疫を標的とした新たな抗うつ薬の開発に期待がかかっている。
自己免疫疾患では、既に免疫を標的としたさまざまなモノクローナル抗体が治療に用いられている。こうした自己免疫疾患では、うつ病を伴うことも多いが、こうしたケースでは、抗炎症治療がうつ状態改善にも寄与するのだろうか。
今回紹介する総説は、免疫治療薬の比較的新しいクラスである、モノクローナル抗体の抗うつ効果に関するエビデンスを検討したものである(J Clin Psychiatry 2024; 85: 23nr15243)。
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加藤 忠史(かとう ただふみ)
順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。
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