SARS-CoV-2に感染したら認知機能は低下するのか?
健康ボランティアに感染させてみたら...

(© Adobe Stock ※画像はイメージです)
昔、神戸大学の学生や研修医にブラインドで寿司を食べてもらい、冷凍後の寿司ネタと非冷凍の寿司ネタでおいしさが変わるか検証したことがある。二重盲検RCT(笑)だが、両群には差が認められなかった。アニサキスなどの寄生虫感染予防にはネタの冷凍が効果的で、欧米ではこの方法が実装されている。が、日本では「ネタの風味が落ちる」という理由でなされていないことが多い。よって日本は世界一アニサキス症の発症が多いのだ。少なくとも神戸大学の学生・研修医レベルの舌であれば、冷凍させるに限る。
Iwata K, Fukuchi T, Yoshimura K. Is the quality of sushi ruined by freezing raw fish and squid? A randomized double-blind trial with sensory evaluation using discrimination testing. Clin Infect Dis 2015; 60: e43-4e8.
このような健康ボランティアを被験者に用いた研究には、さまざまな配慮が必要となる。患者に対する治療薬の利益がある程度想定できるRCTと異なり、健康ボランティアに介入する際には倫理的問題がクリアされねばならない。まあ、前述の研究は北新地の高級寿司店の板前さんに最高級の食材で寿司を握ってもらったから、被験者さんにはご満足いただきたいところではあるが(笑)。とはいえ、食材アレルギーやアニサキス症の発症時に対応できるプロトコルは事前に準備しなければならないし、当然、説明と同意が必要だ(幸い、この研究ではなんのトラブルもなかったが)。
過去には米国のジョンズ・ホプキンス大学で健康ボランティアに気道刺激性の物質を吸入させる臨床試験を行い、呼吸不全のために被験者が絶命したことがある。これを受けて同大学ではしばらく臨床試験がすべてストップしてしまった。
Ready T. Trials suspended due to death at Hopkins. Nat Med 2001; 7:877.
というわけで、健康ボランティアを用いた研究も簡単ではない。しかし、こういう被験者だからこそ得られる知見も多々ある。今回紹介するのは、そういう研究である。
Trender W, Hellyer PJ, Killingley B, et al. Changes in memory and cognition during the SARS-CoV-2 human challenge study. eClinicalMedicine 2024; 76: 102842. Accessed 24 September 2024.
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岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。









