ドクターズアイ 関谷潔史(アレルギー)

小麦が関わるアレルギー反応を正しく分類しよう

「不必要な完全回避」を避けるためのアプローチ

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【研究の背景】アレルギー反応の原因蛋白質はさまざま

 成人食物アレルギー診療において小麦アレルギーは頻度が高く、誤食も多いことから重要な位置を占める。免疫グロブリンE(IgE)依存性小麦アレルギーの診断には、通常、徹底的な病歴聴取に加え、皮膚プリックテスト(SPT)や血清特異的IgE(sIgE)測定が必要である。

 特定の表現型を検出する際は、ω−5グリアジンsIgEなどの小麦アレルゲン成分特異的IgEを用いたコンポーネント診断(Component-Resolved Diagnostics;CRD)が診断の精度向上に役立つ。しかしこれらを組み合わせても、小麦アレルギーにおける診断の精度は他の一般的な食物アレルゲンの場合と比較して低い。それ故、小麦アレルギーにおいては、診断のために経口負荷試験(OFC)を行わざるをえないことが多々ある。だがOFCは小麦摂食による症状の再現性を確認する検査という性質上、侵襲性が高く、一般医療機関では施行が難しいため、できる限りOFCを施行せずに精度の高い診断を行うことが望まれる。

 そこで今回は、IgE依存性小麦アレルギーおよび小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(Wheat-Dependent Exercise-Induced Anaphylaxis;WDEIA)に関する最新レビュー(Clin Rev Allergy Immunol 2025; 68: 47)で示された適切な臨床診断に導くための診断アルゴリズムを紹介したい。

関谷 潔史(せきや きよし)

国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科部長

 2001年東邦大学医学部卒業。同大学大森病院呼吸器内科、労働者福祉健康機構東京労災病院呼吸器内科などの勤務を経て、2006年から国立病院機構相模原病院アレルギー・呼吸器科ならびに臨床研究センターで勤務。日本アレルギー学会専門医・指導医、日本呼吸器学会専門医・指導医、日本内科学会総合内科専門医・指導医。

関谷 潔史
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