週刊論文ウォッチ

揺らぐβ遮断薬の常識、安全性の懸念まで...

「LVEF保持」心筋梗塞例への投与をめぐり

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は2月2~2月8日に公開された論文からフォーカスしたのは「心筋梗塞後のβ遮断薬投与」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

否定されたLVEF保持例へのβ遮断薬追加の有効性

 「心筋梗塞(MI)後にはβ遮断薬」。

 長らく信じられてきたこの「常識」が、近年、エビデンスという荒波の中で大きく揺らいでいる。

 そもそもは、再灌流療法が一般的になる以前のランダム化比較試験(RCT)に基づいた「常識」である(JAMA 1982; 247: 1707-1714)。

 それもあり、早期再灌流療法の普及に伴い増えてきた、左室駆出率(LVEF)が保持されたMI生存例での有効性が疑問視されるようになった。2010年以降4つのRCTが実施され(後出)、3報が有効性を認めなかった。

 そこで、これら4試験のメタ解析が実施され、その結果、MI後LVEF維持例へのβ遮断薬追加は、その有効性が否定された(Cardiovasc Drugs Ther 2025年12月13日オンライン版)。

 加えて今回、「有効性の否定」にとどまらず「安全性に対する懸念」まで示唆される新たなメタ解析が報告された。

 著者は、在沖縄米国海軍病院の比留間百合子氏ら。2月3日、J Cardiolにレターの形で掲載された。

 およそ半数を占めた、「高血圧合併」例での結果も議論を呼びそうだ。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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