〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は2月23~3月1日に公開された論文からフォーカスしたのは「糖尿病治療薬の費用効果」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 編集部注:本記事は、評価指標の違いによって生じる「有効性の印象」を論じたものです。特定の薬剤の有効性を論じることを主眼としたものではありませんが、身近な問題に感じていただくために、あえてタイトルに薬剤名を入れました。 相対リスク減少率やNNTだけでは不十分の声も 「ある治療がどれほど有効か」。この点を考える際、どのような指標を参照すべきだろう。 最もよく用いられているのは「相対リスク減少率」ではないだろうか。その他、絶対リスク差を反映した「治療必要数」(NNT)という指標もある。 しかし「患者に説明する場合、これらの指標だけでは不十分だ」という声がある。 そのような立場から、有効性指標として「追加」を推奨されているのが「イベント遅延効果」だ。治療により特定のイベント発生をどれほどの期間遅らせうるか、Kaplan-Meier曲線から推計した値である。 その実例が、2月24日のDiabetes Obes Metabに掲載された。著者はデンマーク・Copenhagen University HospitalのSigne Schmidt氏ら。 評価されたのは、2型糖尿病例に対するGLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)の心腎イベント遅延効果だ。しかしその「遅延幅」を見ると、驚くのではないだろうか。