〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は3月2~8日に公開された論文からフォーカスしたのは「クロピドグレルへの胃酸抑制薬併用の安全性」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。 日本と欧米で異なる「クロピドグレル・PPI併用」の評価 抗血小板薬であるクロピドグレル服用例に対し、プロトンポンプ阻害薬(PPI)を併用するべきだろうか。 日本消化器病学会による『消化性潰瘍診療ガイドライン2020(改訂第3版)』は、「抗血小板薬2剤併用療法(DAPT)」例に対するPPI併用を、上部消化管出血予防の観点から強く推奨している。DAPTではアスピリン・クロピドグレル併用が多く採用されてきた実態を考えれば、クロピドグレルへのPPI併用を推奨しているようなものである。 一方、米国食品医薬品局(FDA)はクロピドグレルの抗血小板作用が減弱する恐れがあるとして、PPIオメプラゾールの併用を控えるよう2009年、警告を発出した。 欧州医薬品局も同年、クロピドグレルとPPIの併用は「絶対に必要」である場合以外、避けるよう推奨している。 ただし東アジア人と白人では、虚血性イベントのリスクが異なる。そのため、クロピドグレル・PPI併用の評価が彼我で異なっていてもおかしくはない。 そのような観点から興味深いデータが3月2日、Strokeに掲載された。韓国・中央大学校のJung-Hwa Hong氏らが解析した、韓国の脳梗塞例実臨床データである。 それによれば、東アジア人では特定のPPIを避ければ、クロピドグレルとの併用に問題はなさそうだ。 一方、PPI以上に「要注意」である胃酸抑制薬の存在も、浮かび上がってきた