ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)

患者指導に自信あり!「飽和脂肪酸OK」の根拠

「飽和脂肪酸制限に医学的根拠なし!」再び

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感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:SFA制限をめぐり賛否が繰り広げられている

 昨年(2025年)、「『飽和脂肪酸制限』に医学的根拠なし」というタイトルで私自身が筆頭著者として発表したランダム化比較試験(RCT)のメタ解析の結果をDoctor's Eyeでご紹介した(関連記事「怒りの論文投稿!『飽和脂肪酸制限』に医学的根拠なし」、JMA J 2025; 8: 395-407)。

 この記事では、われわれのメタ解析で飽和脂肪酸(SFA)制限による有意な心血管イベントの抑制は認められず、かつ既報のRCTのメタ解析(Cochrane Database Syst Rev 2020; 5: CD011737PLoS Med 2010; 7: e1000252)には、本来採用すべきでない論文が採用されていて、結果が信用できないと述べた。

 しかし、昨年末に私にとって衝撃の論文がAnn Intern Medにオンライン版で掲載された(Ann Intern Med 2026; 179: 242-255)。

 この論文によると、あらためてSFA制限についてのRCTのメタ解析を行ったところ、(心血管リスクの低い人ではほとんど効果はないが)心血管リスクの高い人ではSFAを多価不飽和脂肪酸(PUFA)に置換することで心血管イベント(特に心筋梗塞)の明確な抑制効果がある(期待できる)というのである。

 私が衝撃を受けたのは、論文の著者の中には私が尊敬するProf. Gordon Guyatt〔Prof. David Sackettと並ぶ科学的根拠に基づく医療(EBM)の提唱者〕が入っていたからである。「Guyattほどの学者が入って真摯に実施したメタ解析で、『SFA制限は心血管イベント抑制に意義がある』というのなら、それはその通りなのかもしれない」―そんな気持ちで論文を読んだ。

 その結果、今回の論文の著者らの主張にも医学的に無理がある(SFA制限を心血管イベント予防のために推奨することは難しい)ことが見えてきた。この論文を読んでも、私の結論は昨年のDoctor's Eyeで述べた通り、「スタチン投与下でのRCTの成績が出るまで、SFA制限は推奨できない」のままである。あらためて今回のAnn Intern Med論文の内容とその問題点を、私たちの論文と比較しながらお伝えしたい。


山田 悟(やまだ さとる)

1994年、慶應義塾大学医学部を卒業し、同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て、2002年から北里研究所病院で勤務。 現在、同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら、2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医

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