ドクターズアイ 齋田良知(整形外科)

「PRPは軟骨を再生するのか」への回答

外傷性OAモデルが示した「守る治療」という可能性

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研究の背景:「エビデンス不十分」との批判あり

 変形性膝関節症(膝OA)に対する多血小板血漿(PRP)療法について、臨床医が最も知りたい疑問はおそらくこれである。

 PRPは軟骨を再生するのか?

 PRPは患者自身の血液から作製する自己由来製剤であり、多くの成長因子を含むことから、軟骨修復や再生医療との関連で注目されてきた。一方で、PRP療法は長らく「エビデンスが十分ではない治療」とみられてきた側面もある。

 これまでの研究では、軟骨細胞培養などのin vitro実験においてPRPが軟骨細胞に対してポジティブな作用を示すことが多く報告されてきた。しかし、外傷によって誘発されるOAモデルにおいて、PRPが軟骨変性の進行にどのような影響を及ぼすかについては、必ずしも十分に検討されていなかった。

 今回紹介する研究は、半月板損傷によって誘発される外傷性OAマウスモデルを用いてPRPの効果を検討したものである(Regen Ther 2026: 31: 101072)。ヒトの膝OAは単なる加齢現象として発症するわけではなく、半月板損傷などの外傷を契機として進行するケースも多いと考えられている。その意味で、このモデルは臨床の病態に比較的近い状況を再現している。

齋田良知(さいた よしとも)

順天堂大学整形外科・スポーツ診療科准教授(運動器再生医学講座特任教授)

順天堂大学医学部を卒業後、同大学整形外科・スポーツ診療科に入局。Jリーグジェフ千葉および女子サッカー日本代表(なでしこジャパン)のチームドクターを務め、2016年にはイタリアのサッカークラブACミランに帯同した。2016年のいわきFC発足時からチームドクターを務める。2018年、一般社団法人日本スポーツ外傷・障害予防協会を設立し、代表理事に就任。変形性膝関節症など変性疾患の治療経験も豊富で、多血小板血漿(PRP)療法を含む幅広い治療選択肢を患者に応じて使い分けている。

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