研究の背景:神経筋疾患の薬効評価、認識にズレ デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は、幼少期から筋力低下が進み、やがて呼吸や心機能にも影響が及ぶ慢性進行性の神経筋疾患である。近年は呼吸管理や心筋症治療、ステロイド治療の進歩によって自然歴は変わってきたが、それでもなお、病気そのものの進行をどこまで抑制できるかは大きな課題として残っている。 そうした中、マイクロジストロフィン遺伝子をアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターで導入するデランジストロゲン モキセパルボベク(商品名エレビジス点滴静注)は、「失われた蛋白を補う」という意味で大きな期待を背負って登場した。EMBARK試験(Nat Med 2025; 31: 332-341)は、その期待を真正面から検証した第Ⅲ相試験である。