ドクターズアイ 今野良(産婦人科)

「診察台上の孤独な痛み」を考える

ACOG Clinical Consensus No. 9が示すパラダイムシフトと日本への提言

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研究の背景:放置されてきた「痛み」への反省

 産婦人科の外来診療において、子宮内避妊具(IUD)の挿入、子宮内膜生検、子宮鏡検査、あるいはループ電気円錐切除術(LEEP)といった処置は日常茶飯事である。われわれ医師側は、これらの処置を「数分で終わる軽微なもの」と捉え、鎮痛なし、あるいは不十分な鎮痛下で実施することを長年の慣習としてきた。

 しかし、2025年5月に米国産科婦人科学会(ACOG)が発表した"Clinical Consensus No. 9:Pain Management for In-Office Uterine and Cervical Procedures(Obstet Gynecol 2025; 146: 161-177)"は、こうしたわれわれの姿勢に深刻な再考を迫るものである。本コンセンサスの背景には、医療者が患者の痛みを一貫して過小評価してきた(underestimate)という事実、そしてそれが人種、性自認、過去のトラウマ体験などによってさらに増幅・偏向されてきたという倫理的反省がある。

今野 良(こんの りょう)

自治医科大学名誉教授、自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科、メディカルコンサルH&B代表、特定非営利法人子宮頸がんを考える市民の会理事長

日本産婦人科学会(専門医)、日本婦人科腫瘍学会(専門医)、日本産婦人科内視鏡学会(理事、技術認定医)、日本臨床細胞学会(専門医)、日本エンドメトリオーシス学会(理事)、日本婦人科がん検診学会(2012年学術集会長)、日本美容内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本産婦人科医会、日本旅行医学会など。
ASCO(米国臨床腫瘍学会、子宮頸がんガイドライン作成委員・外部評価委員)、AOGIN(アジアオセアニア生殖器感染症および腫瘍に関する学会、日本代表理事、2017年TOKYO meeting会長)、Aesthetic &Anti-Aging Medicine World Congress(世界美容医療・アンチエイジング医学会)、World Endometriosis Society(世界内膜症学会)など。

今野 良
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