週刊論文ウォッチ

鉄欠乏は心不全の転帰増悪リスク、PPIが関与か

PCABはより高リスク? PPIの代替に?

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〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は5月11~17日に公開された論文からフォーカスしたのは「心不全における鉄欠乏」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

鉄欠乏の心不全例では死亡リスク1.4倍

 「鉄欠乏」を合併する心不全(HF)例は少なくない。

 英国でHF疑い連続登録4,456例を調べたところ「鉄欠乏」の合併率は、貧血を呈するHF例では43~68%、貧血を認めないHF例でも15~35%に及んだ(JAMA Cardiol 2016; 1: 539-547)。

 そして「鉄欠乏」を合併すると、HF例の転帰は増悪する。

 欧州HF 1,506例〔左室駆出率(EF)のレベルは問わない〕を1.92年(中央値)観察したデータでは、鉄欠乏「合併」で「非合併」に比べ死亡ハザード比は1.42の有意高値となっていた(95%CI 1.14~1.77、Am Heart J 2013; 165: 575-582)。

 問題は、EF低下/軽度低下HF(HFr/mrEF)例における「鉄欠乏」を是正しても心血管(CV)転帰は改善しないという点である(後述)。そのため「鉄欠乏」は「予防」が重要となる。

 そのような観点から興味深い論文が5月13日、J Card Failで公表された。著者はオランダ・University of GroningenのMats Kutscher氏ら。

 HFrEFの3例に1例が服用していたプロトンポンプ阻害薬(PPI)に、「鉄欠乏」リスク上昇の恐れがあるという。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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