ドクターズアイ 丹保亜希仁(救急医療)

胸膜動く?実質見える?気胸診断は2軸評価へ

肺超音波の国際コンセンサス2025年版

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研究の背景:単純ではない超音波所見と病態の対応

 ポイントオブケア肺超音波検査(point-of-care lung ultrasound;PoCLUS)は、臨床医がベッドサイドで実施し、その場の診療判断に用いる。Aライン、Bライン、lung sliding、lung point、コンソリデーションなどの所見を手がかりに、呼吸不全の病態推論に有用とされる。

 2012年には、肺超音波に関する国際コンセンサスが公表され、気胸、胸水、interstitial syndrome、肺炎・無気肺などに対する基本所見と臨床応用が整理された(Intensive Care Med 2012; 38: 577-591)。それから10年以上が経過し、PoCLUSは急性期診療における身近なツールとなっている。

 ただし「lung slidingがないので気胸」「多発Bライン(Multiple B-lines)があるので肺水腫」といった説明は理解しやすい一方で、実際には超音波所見と病態の対応はそれほど単純ではない。PoCLUSは簡便であるが、理解が浅い場合には注意を要する。

 今回、国際コンセンサス2012年版を補完する、2025 focused update(以下、2025年版)が公表された(Intensive Care Med 2026; 52: 1415-1446)。2012~25年の1,775件の新規文献が検討され、83件のステートメントについて合意が得られている。このアップデートを基に、臨床現場でPoCLUSをどのように活用すべきかについて考察する。

丹保 亜希仁(たんぽ あきひと)

旭川医科大学救急医学講座准教授、旭川医科大学病院救命救急センター副センター長

2003年、旭川医科大学卒業、麻酔・蘇生学教室に入局。2005年に米・Medical College of Wisconsin麻酔科に留学し、帰国後は麻酔科から救急・集中治療領域へと徐々に軸足を移した。岩手県高度救命救急センター、名寄市立総合病院救命救急センター、市立旭川病院救急科などを経て、2023年より現職。興味・関心領域は気道管理、周産期救急・集中治療、ポイントオブケア超音波(気道・肺・ガイド下手技)、血栓性微小血管症(TMA)、急性血液浄化など。日本集中治療医学会機関誌編集・用語委員会委員長。高気圧潜水医学会北海道地方会会長。共著に『改訂第5版 日本救急医学会 ICLSコースガイドブック』(羊土社)などがある。

丹保 亜希仁
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