ドクターズアイ 山田悟(糖尿病)

本格的な経口GLP-1RA時代がやってくる

激変が予想される糖尿病治療薬の処方動向

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研究の背景:今ある唯一の経口GLP-1RAは服用条件が細かい

 米国糖尿病学会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)の合同レポートにおいては、心臓や腎臓の合併症予防を目的に治療するのであれば、GLP-1受容体作動薬(GLP-1RA)かSGLT2阻害薬(SGLT2i)を使用するように勧めている(Diabetes Care 2022; 45: 2753-2786)。

 しかし、GLP-1RAはほとんどが注射製剤であり、そのための手技指導が必要という点で導入に難がある。唯一の経口GLP-1RAとして経口セマグルチドが存在するが、空腹時に経口セマグルチド単独で50~120mLの真水で服用し、服用後少なくとも30分(できれば120分)禁飲食で過ごすという細かな服用条件が付いている。こちらも導入に難があるといえば難がある。これはペプチドであるセマグルチドを消化酵素から保護して吸収をさせるため、胃の中のpHを調整する必要があるからである。

 こういう状況の下、製薬企業が小分子化合物としてのGLP-1RAの開発に鎬を削るのは当然のことだといえよう。今年(2026年)になってOrforglipron(イーライリリー)が第Ⅲ相試験を、Elecoglipron(アストラゼネカ)が第Ⅱ相試験をそれぞれ複数報告している(Lancet 2026; 407: 2515-2527Lancet 2026; 407: 2503-2514)。ここでは、第Ⅲ相試験まで進んでいるOrforglipronを取り上げようと思う。

 Orforglipronの2型糖尿病患者を対象にした開発プログラムがACHIEVEで、肥満症患者を対象にした開発プログラムがATTAINであるが、それらの中から、経口セマグルチドを対照薬としたACHIEVE-3試験(Lancet 2026; 407: 1147-1160)と、注射セマグルチドや注射チルゼパチドからの切り替え試験であるATTAIN-MAINTAIN試験(Nat Med 2026; 32: 2679-2687)をご紹介したい。


山田 悟(やまだ さとる)

1994年、慶應義塾大学医学部を卒業し、同大学内科学教室に入局。東京都済生会中央病院などの勤務を経て、2002年から北里研究所病院で勤務。 現在、同院糖尿病センター長。診療に従事する傍ら、2型糖尿病についての臨床研究や1型糖尿病の動物実験を進める。日本糖尿病学会の糖尿病専門医および指導医

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