週刊論文ウォッチ

ω-3脂肪酸製剤の「益」と「害」を絶対リスクで考える

NNT、NNHは評価に不可欠

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〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は7月27日~8月2日に公開された論文からフォーカスしたのは「ω-3脂肪酸製剤の評価」に関する論文。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

CV転帰改善の「益」と心房細動リスク上昇の「害」

 n-3系多価不飽和脂肪酸(ω-3脂肪酸)製剤については、心血管(CV)転帰改善作用を期待した数多くのランダム化比較試験(RCT)が実施されてきた。ネガティブ試験も多数存在するが、CV転帰改善作用を実証できたRCTもある(後述)。

 その一方、心房細動(AF)新規発症リスクを上昇させるとの報告も、近年続いている。代表的なのは、RCT 7報のメタ解析だ(Circulation 2021; 144: 1981-1990;ちなみに責任著者は同年早期に、ω-3脂肪酸製剤はAF予防に無効とするRCTを筆頭著者として報告している(JAMA 2021; 325: 1061-1073)。

 そのため、ω-3脂肪酸製剤の処方を考慮する場合、CV転帰改善という「益」とAFリスク上昇という「害」を比較衡量する必要があろう。

 そのような観点から興味深い解析が7月28日、Circ Arrhythm Electrophysiolに掲載された。著者は米国非営利団体Fatty Acid Research InstituteのNada R. Abuknesha氏ら。

 既報を圧倒するデータ量で新たなメタ解析を実施し、ω-3脂肪酸製剤に伴う新規AF発症リスクは、「用量」や患者の「CVリスク」により異なることを明らかにした。

 と同時に、治療の「益」と「害」を考える際における、「絶対リスク評価の重要性」を再確認させるデータでもあった。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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