かわいい顔をした厄介者、ランブル鞭毛虫の落とし穴
男性間性交渉者でアメーバ赤痢を疑うが…
一般的な性感染症の検査はいずれも陰性
私が医師になって20年以上がたち、さすがに自分の専門分野においては「一度も診たことがない疾患」は少なくなってきました。しかし先日、これまで一度も診断したことのなかった感染症に遭遇しました。
それが、ランブル鞭毛虫が引き起こすジアルジア症です。
症例は30歳代の男性。男性間性交渉者(men who have sex with men;MSM)でした。2週間以上続く下痢を主訴に当院を受診しました。
淋菌、クラミジア、梅毒、HIVなどの一般的な性感染症の検査はいずれも陰性。そこで、残る鑑別としてアメーバ赤痢を疑い、検査会社に便検査を依頼しました。
すると、アメーバ赤痢は検出されなかったのですが、思いがけないものが見つかりました。
ランブル鞭毛虫の囊子(シスト)です。
こうして、私は初めてジアルジア症の診断に至りました。原因となるランブル鞭毛虫の栄養型(トロフォゾイト)は、一見するとヒトの愛らしい顔を思わせるユニークな形態をしています。その「かわいい顔」とは裏腹に、臨床現場では見逃せない厄介者なのです。
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