週刊論文ウォッチ

高齢者への初発予防スタチン、どう判断すべきか

「中止してよい」「開始すると有用」の狭間で

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〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は9月28日~10月4日公開分から「高齢者への初発予防スタチン」関連論文に注目。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

相反する2つのエビデンスを実臨床にどう反映させるか

 心血管疾患(CVD)既往のない高齢者へのスタチンは「是」か「非」か―。この問いが近時話題になっているようだ。きっかけは2つのランダム化比較試験(RCT)である。

 1つは8月21日の本欄(関連記事「スタチンは中止できる―75歳以上・初発予防例なら」でも紹介したSITE/SAGA試験(Lancet Healthy Longev 2026; 7: 100884)、もう1つは今年の欧州糖尿病学会(EASD 2026)で報告されたSTAREE試験(N Engl J Med 2026 ; 395: 1259-1272)である。

 前者からの知見は「75歳以上でもCVD既往がなければスタチンは安全に中止できる」だったのに対し、後者は「70歳以上のCVD一次(初発)予防例でも、スタチンは心血管イベントを抑制しうる」というものだった。

 「中止してよい」と「開始すると有用」というエビデンスが、ほぼ同時に公開された形だ。

 これらの結果をどのように実臨床に反映させるべきか。興味深い論説が9月30日、Eur Heart J Cardiovasc Pharmacotherに掲載された。著者はスウェーデン・Uppsala大学のJessica Schubert氏とSkåne 大学のMargret Leosdottir氏。両試験とも注意深く読み解くと、幾つかの留意点が見えてくるようだ。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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