アウトサイダーの視点

【緊急寄稿】ステミラック本承認で残された疑問

プラセボとの「改善差」はどこまで「治療効果」に帰属するのか

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初めに:初の仮承認→本承認

 驚くべきニュースが飛び込んできた。今年(2026年)10月15日、厚生労働省の薬事審議会部会は、脊髄損傷治療に用いる再生医療等製品ステミラック注(以下、ステミラック)の本承認を了承したのである。今後1カ月程度で本承認される。「再生医療早期承認制度」によって仮承認を受けた製品が本承認に進む初の事例となる。

 今回公表された比較調査では、ステミラック群で機能改善した患者の割合が統計学的有意差をもって対照群より高かった。しかし、この群間差をステミラックそのものの効果にどこまで帰属できるかという疑問は残されたままである。

川口 浩(かわぐち ひろし)

社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院・整形外科顧問

1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。2019年、東京脳神経センター・整形外科脊椎外科部長。2023年から現職。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。整形外科専門医・脊椎脊髄外科専門医(日本専門医機構)、脊髄脊髄外科名誉指導医(日本脊椎脊髄病学会)。Peer-reviewed英文原著論文は370編以上(総計impact factor=2,120:2026年5月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa Delta Awardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G. Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の医療の「大樹」も「長いもの」も、科学的に公正なものであることを願っている。

川口 浩
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