【2026年医学はこうなる】溝口博重
株式会社AMI&I代表取締役/NPO法人医桜代表理事

【私が選んだ医学2025年の3大ニュース】
1.「みんな赤字だぜ!」病院経営の臨界点
もともと病院経営は、くしゃみ一発で利益が吹き飛ぶほど利益率が低い。人件費比率は高く、設備投資も重い。わずかな外部環境の変化が、即座に収支を直撃する構造である。
2025年は、そこに物価高という決定打が入った。電気代、食材費、医療材料費、委託費、人件費ーー。あらゆる経費が同時に上昇する一方で、診療報酬はインフレを前提としない設計のまま据え置かれ、その結果、病院経営は確実な地盤沈下に陥ったわけである。
問題の本質は、個々の病院の経営努力不足ではない。日本は約30年にわたり実質的なデフレ環境が続き、医療制度も「物価が上がらない」ことを前提に固定化されてきた。その制度が、インフレ局面に耐えられなかったというだけの話といえよう。
2025年は病院経営の危機というより、「インフレ非対応制度」の限界が一斉に露呈した年だったといえるだろう。医師会や病院団体も「診療報酬を上げてほしい」と訴えるにとどまり、制度そのものがインフレに対応していないという核心には踏み込んでいない。
診療報酬に一喜一憂する構造を、30年かけて医療機関側に刷り込んできた。その意味では、厚労省にとって「成果」が確認された1年だった、と皮肉を込めて言うこともできる。
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