アウトサイダーの視点

「骨質30%神話」の素性を糺す

日本の骨粗鬆症医療を迷走させる「検証されない仮説」

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初めに

 米食品医薬品局(FDA)は昨年(2025年)12月、閉経後骨粗鬆症を対象とする新薬開発において、大腿骨近位部骨密度(total hip BMD)を骨折抑制効果に代わる代替評価項目(surrogate endpoint)として正式に認定した(関連記事「歴史的転換!『骨折評価なしで骨粗鬆症薬を承認』」)。

 この歴史的な決定は、日本の骨粗鬆症医療で長年にわたり喧伝されてきた「骨質」ではなく、「骨密度」が「骨強度」を代替できる科学的エビデンスとして認められたことを意味する。では、「骨強度=骨密度70%+骨質30%」という日本の都市伝説「骨質30%神話」は、いったいどこから生まれ、なぜ四半世紀以上にわたり日本の骨粗鬆症医療にはびこってきたのだろうか。

川口 浩(かわぐち ひろし)

社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院・整形外科顧問

1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。2019年、東京脳神経センター・整形外科脊椎外科部長。2023年から現職。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。整形外科専門医・脊椎脊髄外科専門医(日本専門医機構)、脊髄脊髄外科名誉指導医(日本脊椎脊髄病学会)。Peer-reviewed英文原著論文は370編以上(総計impact factor=2,120:2026年5月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa Delta Awardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G. Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の医療の「大樹」も「長いもの」も、科学的に公正なものであることを願っている。

川口 浩
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