週刊論文ウォッチ

どうなるLp(a)特異的低下薬

非特異薬による過去のRCTを振り返り

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする

〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は9月7~13日に公開分から「Lp(a)低下療法」の関する論文にファーカス。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

最初のLp(a)特異的低下薬で主要評価項目を達成せず

 9月5日、なんとも「間の悪い」論文がAm J Prev Cardiolに掲載された。

 タイトルは「米国におけるリポプロテイン(a)〔Lp(a)〕標的治療の適応集団と心血管イベント予防予測」。筆頭著者は米・University of CaliforniaのNathan D. Wong氏である。3月の米国心臓病学会で報告の内容が論文化された(ノバルティス社が資金提供。最終著者は同社所属)。

 内容をかい摘むと、Lp(a)特異的低下薬の適応となる心血管疾患(CVD)既往例は現在、米国だけで530万例おり、Lp(a)低下治療によって心血管イベント再発は5年間で12万~37万例の減少が予想されるというものだった。

 なぜこの論文の「間が悪い」のか。まさにその前日、「Lp(a)特異的低下薬で心血管イベントのリスクを抑制できず」というランダム化比較試験(RCT)“Lp(a)HORIZON”の第一報が、開発社であるノバルティス社から公表されていたためである(同社リリース)。

 Lp(a)HORIZON試験で検討された薬剤は、ファーストインクラスのLp(a)特異的低下薬として期待されたpelacarsen。主要評価項目である「心血管死亡・心筋梗塞/緊急冠血行再建・脳卒中」での抑制効果がプラセボと比較された(Am Heart J 2025; 287: 1-9)。対象は「Lp(a)上昇」(≧70mg/dL)を認めたCVD既往のある8,323例。導入基準は冒頭で紹介した論文と同じである。

 詳細は不明だが、pelacarsenはLp(a)は低下させたものの、主要評価項目の発生リスクは抑制できなかったという。

 さてこれは「意外な結果」だろうか。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする