Dr.小堀の性症例ファイル

かわいい顔をした厄介者、ランブル鞭毛虫の落とし穴

男性間性交渉者でアメーバ赤痢を疑うが…

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一般的な性感染症の検査はいずれも陰性

 私が医師になって20年以上がたち、さすがに自分の専門分野においては「一度も診たことがない疾患」は少なくなってきました。しかし先日、これまで一度も診断したことのなかった感染症に遭遇しました。

 それが、ランブル鞭毛虫が引き起こすジアルジア症です。

 症例は30歳代の男性。男性間性交渉者(men who have sex with men;MSM)でした。2週間以上続く下痢を主訴に当院を受診しました。

 淋菌、クラミジア、梅毒、HIVなどの一般的な性感染症の検査はいずれも陰性。そこで、残る鑑別としてアメーバ赤痢を疑い、検査会社に便検査を依頼しました。

 すると、アメーバ赤痢は検出されなかったのですが、思いがけないものが見つかりました。

 ランブル鞭毛虫の囊子(シスト)です。

 こうして、私は初めてジアルジア症の診断に至りました。原因となるランブル鞭毛虫の栄養型(トロフォゾイト)は、一見するとヒトの愛らしい顔を思わせるユニークな形態をしています。その「かわいい顔」とは裏腹に、臨床現場では見逃せない厄介者なのです。

小堀 善友(こぼり よしとも)

プライベートケアクリニック東京 東京院院長

2001年、金沢大学医学部卒業。金沢大学泌尿器科、米・イリノイ大学シカゴ校泌尿器科、獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授を経て、2021年より現職。日本泌尿器科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医、日本性機能学会専門医、日本性感染症学会認定医、日本性科学会セックス・セラピスト。著書に『オトコの「性」活習慣病』(中公新書ラクレ)、『妊活カップルのためのオトコ学』(メディカルトリビューン)、『今日の診断指針第8版「男子性発育の異常」』(医学書院)など。

小堀 善友
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