アウトサイダーの視点

中国が塗り替える医学ジャーナルの世界地図

open access×中国×impact factorの脅威

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初めに:急増する全公開ジャーナル

 国際医学ジャーナルの世界地図が、静かに、しかし確実に塗り替えられている。

 1つは、読者や大学図書館が購読料を負担する「購読型出版」から、論文を読者に無料公開する「open access(OA)」への移行である。中でも、全ての掲載論文を無料公開し、出版費用を著者側が支払うarticle processing charge(APC)で賄う全公開(full OA)ジャーナルが急増している。

 もう1つは、中国の急速な台頭である。国際医学ジャーナル、特にfull OAジャーナルにおいて中国からの論文が著しく増えている。骨研究領域ではその変化を象徴するように、中国を発信基盤とするfull OAジャーナルBone Researchが、突出したimpact factor(IF)を獲得している。

 本稿ではOA、中国、そしてIFをキーワードに、国際医学ジャーナルで今何が起きているのかを考えてみたい。

川口 浩(かわぐち ひろし)

社会医療法人社団蛍水会 名戸ヶ谷病院・整形外科顧問

1985年、東京大学医学部医学科卒業。同大学整形外科助手、講師を経て2004年に助教授(2007年から准教授)。2013年、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター・センター長。2019年、東京脳神経センター・整形外科脊椎外科部長。2023年から現職。臨床の専門は脊椎外科、基礎研究の専門は骨・軟骨の分子生物学で、臨床応用を目指した先端研究に従事している。整形外科専門医・脊椎脊髄外科専門医(日本専門医機構)、脊髄脊髄外科名誉指導医(日本脊椎脊髄病学会)。Peer-reviewed英文原著論文は370編以上(総計impact factor=2,120:2026年5月現在)。2009年、米国整形外科学会(AAOS)の最高賞Kappa Delta Awardをアジアで初めて受賞。2011年、米国骨代謝学会(ASBMR)のトランスレーショナルリサーチ最高賞Lawrence G. Raisz Award受賞。座右の銘は「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」。したがって、日本の医療の「大樹」も「長いもの」も、科学的に公正なものであることを願っている。

川口 浩
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