週刊論文ウォッチ

SGLT2阻害薬の「一過性eGFR低下」は本当に青信号?

「死亡リスク」を考慮すると…

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〔編集部から〕本連載は、主要医学ジャーナルに目を通すことを毎朝の日課としている医学レポーターが、SNS上での反響も踏まえ、毎週特に目を引いた論文5本をピックアップ。うち1本にフォーカスします。今回は10月26日~11月1日公開分から「SGLT2阻害薬の一過性eGFR低下」関連論文に注目。その他のピックアップ論文は、末尾をご覧ください。

「腎転帰」の観点なら「30%未満」は許容範囲

 慢性腎臓病(CKD)例でSGLT2阻害薬を開始すると、少なからぬ患者で直後に推算糸球体濾過量(eGFR)が低下する。この現象(initial dip)は多くの場合一過性とされ、糸球体高血圧是正という腎保護作用の反映と考えられている。

 ではこのSGLT2阻害薬開始後の早期eGFR低下は、どれほどまでが許容範囲だろう。

 日本腎臓学会による『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』では、「30%未満」のようだ(「3 カ月以内に30%以上の低下を認める場合は腎臓専門医に紹介する」)。またKidney Disease: Improving Global Outcomes(KDIGO)2024年版ガイドラインも同様に、30%未満の低下は原則として問題視していない(Kidney Int 2022; 102: S1-S127)。

 SGLT2阻害薬開始直後の「eGFR軽度低下」は「青信号」扱いだ。

 ただし、これらの推奨はいずれも「腎転帰」に注目したものである。

 では、「腎転帰」ではなく「死亡」リスクを考慮したらどうなるか。許容できるeGFR低下幅はもっと小さくなる可能性が明らかになった。

 加えてeGFR低下を「一過性」と考え、安易に観察していると、取り返しのつかない事態になる恐れも示唆された。

 中国・武漢市第四病院のQi Gao氏らが10月29日、Clin Kidney Jで報告した。既報メタ解析との対比も含め、紹介したい。

宇津 貴史(うつ たかし)

医学系編集会社、広告代理店(編集職)とメディカルトリビューン(記者)を経て、2001年からフリーランス。新聞系メディアなどに記名、匿名で執筆を続ける。平日は原則として毎朝、最新論文をチェック(https://x.com/Office_j)。特定非営利活動法人・臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)会員。会員向けニュースレター記事執筆、セミナーにおける発表などを担当。日本医学ジャーナリスト協会会員。共著に『あなたの知らない研究グレーの世界』(中外医学社)。

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