人工関節による治療は、障害関節の機能を回復させる標準的な治療法として確立され、患者のQOL向上に貢献しています。ただし、手術進入法や手技、インプラントの材料やデザイン、3次元画像やコンピュータ技術の応用、さらには教育や技能習得については、最適解をめぐる議論が続いています。今回の学会では、人工膝関節全置換術(TKA)および人工股関節全置換術(THA)に関する発表を中心に、ロボット支援の可能性も含めて取材してきました。 ロボット支援TKA、エビデンス蓄積の鍵は? 手術支援ロボットを用いた人工膝関節全置換術(TKA)は、特別な治療選択肢ではなくなりつつある。一方で、TKA支援ロボットには各機種で使用様式が異なる、統一したデータが出しにくいなどの課題がある。埼玉協同病院(埼玉県)整形外科部長/関節治療センター副センター長の桑沢綾乃氏は第56回日本人工関節学会(2月26~27日)で、「同一機種であれば、多施設間でも同じ評価になることが重要」と述べ、ハンドピース型手術支援ロボットCORIサージカルシステム(以下、CORI)の運用ポイントを解説。2026年度診療報酬改定案に触れながら、さらなるエビデンス蓄積の必要性を訴えた。・・・ 超高齢者への人工関節置換術「25%が3年で死亡」 近年、日本人の平均寿命は延長傾向にあり、超高齢患者に対する人工関節置換術の施行が増加することが予想される。そこで、苑田会人工関節センター病院(東京都)の林孝典氏は、平均寿命を超えた人工関節置換術施行例の生命予後について調査を実施。その結果、「約25%が術後3年程度で死亡していた」と第56回日本人工関節学会(2月26〜27日)で報告した。・・・ 人工股関節全置換術後にロコモは改善し続ける? ロコモティブシンドローム(ロコモ)は、運動器の障害に伴い移動能力が低下した状態を指す概念であり、整形外科疾患だけでなく、加齢や生活機能低下など多様な要因により生じる。人工股関節全置換術(THA)施行例の多くはロコモに陥っているとされるが、THA前後でロコモ度の変化および推移を詳細に検討した報告は限られている。琉球大学整形外科の鷲崎郁之氏は、自施設におけるTHA術後患者38例を対象に術前後のロコモ度変化と股関節機能判定基準(JOAスコア)との関連について検討した結果を、第56回日本人工関節学会(2月26~27日)で報告した。・・・ 2026年開催学会レポート一覧に戻る