下肢閉塞性動脈疾患のステージ分類を提示 脂質低下療法の進歩により、LDLコレステロール(LDL-C)以外の脂質管理、いわゆる「残余リスク」が注目されている。杏林大学循環器内科の舟橋紗耶華氏は、残余リスクの観点から、下肢閉塞性動脈疾患(LEAD)の脂質管理について第90回日本循環器学会(3月20~22日)で発表。トリグリセライド(TG)を多く含むリポ蛋白(TG-richリポ蛋白)、リポ蛋白(a)〔Lp(a)〕などの最新知見を紹介した。また、予防戦略の観点から策定したLEADのステージ分類を提示し、早期からの包括的な予防の取り組みを呼びかけた。心不全のステージ分類が社会的にも注目されたように、LEADへの関心が高まることが期待される。・・・ 「キオスク血圧」で高血圧管理の「実装」目指す ガイドラインはできた、あとは実践あるのみ―。日本高血圧学会は昨年(2025年)、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』(以下、JSH2025)を刊行。降圧目標については、年齢や合併症に関わらず、個人の特性に配慮しながら一律130/80mmHg未満を目指す方針を打ち出した。同学会理事長で自治医科大学循環器内科学部門教授の苅尾七臣氏は、同学会ではJSH2025を普及させて社会への高血圧管理の「実装」を目指しており、そのための取り組みとして「血圧朝活キャンペーン」を展開していることを第90回日本循環器学会(3月20~22日)で紹介した。重要施策の1つは「キオスク血圧」を社会に浸透させることだという。・・・ 尿酸生成抑制薬による生命予後改善に「ATP仮説」 キサンチンオキシダーゼ(XO)阻害薬は尿酸生成抑制にとどまらず、アデノシン三リン酸(ATP)貯蔵に寄与し心血管疾患(CVD)予後の改善に影響を及ぼすのではないか-。自治医科大学地域医療学センター公衆衛生学兼循環器内科学准教授の桑原政成氏は第90回日本循環器学会(3月20~22日)で、こうしたATP仮説について自身らが日本循環器疾患実態調査(JROAD)データを用いXO阻害薬使用と生命予後との関連を検討した観察研究を紹介。「今後はエネルギー代謝(ATP)を標的とした新たな治療戦略が求められるだろう」と強調した。一方、同薬中止に伴う死亡リスクの著増に注意を呼びかけた。・・・ 尿酸管理だけでは心血管は守れない!新概念「血管内痛風」 疫学研究では、血清尿酸値と心血管疾患(CVD)の関連が示されている。一方、キサンチンオキシダーゼ阻害薬である尿酸生成抑制薬を用いた複数のランダム化比較試験(RCT)では、冠動脈イベント抑制効果が限定的であることが報告されている。桜十字八代リハビリテーション病院(熊本県)副院長/熊本大学客員教授の小島淳氏は第90回日本循環器学会(3月20~22日)で、こうした「介入試験のギャップ」について新概念Vascular Gout(血管内痛風)を用いて解説。「今後は尿酸低下とともに、結晶負荷と炎症制御を統合的に捉えた治療戦略への転換が求められる」と強調した。・・・ 安定冠動脈疾患に対するPCI施行数は適正か 急性心筋梗塞(AMI)と異なり、安定冠動脈疾患(CAD)に対する経皮的冠動脈インターベンション(PCI)には明らかな予後改善効果がないことが、ISCHEMIA試験(N Engl J Med 2020; 382: 1395-1407)など複数のランダム化比較試験(RTC)で示されており、国も安定CADに対するPCIの適正施行を要請している。千葉大学病院循環器内科の齋藤佑一氏らは、日本PCIレジストリ(J-PCI)のデータを用いて、2019年と2023年におけるAMIと非AMIに対するPCI施行状況を検討。適正使用の指標となる人口10万人当たりのPCI施行数の非AMI/AMI比は低下傾向にあるものの、都道府県格差が大きいと第90回日本循環器学会(3月20~22日)で発表した。なお、詳細はPLoS One(2025; 20: e0335426)に掲載されている。・・・ 肺高血圧症に伴う右心不全、吸入NOが急性期に有効 肺高血圧症(PH)に伴う非代償性右心不全は、生命を脅かす状態であり、心不全治療薬を投与しても予後不良である。しかし、現在承認されているPH治療薬は、最適な効果発現までに時間を要すことや増量が必要なものも多く、低血圧のリスクがあるなど、急性期においては限界がある。国立循環器病センター肺循環科特任部長の大郷剛氏らは、標準的なPH治療薬の効果が発現するまでのギャップを埋める選択性の高い肺血管拡張薬として、吸入一酸化窒素(iNO)の有効性と安全性を検討する第Ⅱ相非盲検ランダム化比較試験(RCT)PHiNOを実施。「iNOはPHに起因する重症急性右心不全患者の肺血管抵抗(PVR)を著明に改善し、血行動態や血液検査所見の回復が早かった。安全性プロフィールも良好であった」と第90回日本循環器学会(3月20~22日)で報告した。試験結果はCirc J(2026年3月12日オンライン版)に同時掲載された。・・・ 「狭窄ない心筋虚血」INOCAの日本人像に迫る 近年、冠動脈に明らかな狭窄がないにもかかわらず心筋虚血が疑われる病態、虚血性非閉塞性冠疾患(INOCA)が注目されている。しかし、日本人の病像は解明されていない。札幌心臓血管クリニック循環器内科部長の蔵満昭一氏らは、J-ADVANCEレジストリの初報(中間報告)を第90回日本循環器学会(3月20~22日)で発表。侵襲的診断方法(IDP)は、日本人INOCAのエンドタイプ(病態分類)の診断において重要な役割を果たし、適切な治療の選択に寄与する可能性があると述べた。なお、J-ADVANCEレジストリは、冠微小循環機能および冠血流予備量比を用いて評価された日本人冠動脈疾患患者の臨床転帰に関する多施設前向きレジストリ研究である。・・・ 2026年開催学会レポート一覧に戻る