肝疾患と糖尿病・代謝は密接に関連し、両者を包括的に診るアプローチが重要性を増しています。今回は、新規開発中のsurvodutideの肝星細胞・肝癌細胞株に対する直接効果に関する研究、B型肝炎ウイルス制御下における発癌にMASLDが及ぼす影響についての報告を取材しました。 MASLD、診断能が高いバイオマーカーは? 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)診療においては、肝線維化を正確に評価することが極めて重要となる。血液学的バイオマーカーやスコアリングシステム、画像検査といった非侵襲的検査(NITs)が広く用いられるが、多様な評価法の診断能を比較したエビデンスは限られている。岐阜市民病院消化器内科部長の林秀樹氏は、自施設のMASLD患者を対象に、肝生検による線維化ステージとNITsでの評価との関連について検討。結果を第12回肝臓と糖尿病・代謝研究会(6月20日)で報告した。・・・ MASLD、B型肝炎例の発がんへの影響は? B型肝炎患者では、核酸アナログ製剤(NA)の投与により肝がん発生率の低下や肝線維化改善の可能性が指摘されている。しかし、NA投与後の肝発がん関連因子についてはエビデンスが限られており、代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)が及ぼす影響についても明らかでない。久留米大学内科学講座消化器内科部門講師の天野恵介氏は、B型肝ウイルス(HBV)制御後の168例を対象にNA投与中に発生した肝細胞がん(HCC)の危険因子について後ろ向きに検討。結果を、第12回肝臓と糖尿病・代謝研究会(6月20日)で報告した。・・・ Survodutide、肝星細胞・肝がん細胞への直接効果を検証 代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)は、脂肪蓄積を背景に炎症や肝細胞障害を伴い、肝線維化、肝硬変、肝発がんへ進展するリスクを有する疾患概念である。中でも、代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)は、MASLDの進行型として位置付けられる。新規グルカゴン(GCG)/GLP-1受容体二重作動薬であるsurvodutideは、MASHに対する臨床的有効性が報告されているが(N Engl J Med 2024; 391: 311-319)、肝星細胞や肝がん細胞への直接作用については十分に明らかにされていない。久留米大学内科学講座消化器内科部門准教授の中村徹氏は、ヒト肝星細胞株およびヒト肝がん細胞株を含む9種類の細胞株を用いて、受容体発現と細胞増殖に対する影響を評価し、survodutideの直接作用を検証した。その結果を第12回肝臓と糖尿病・代謝研究会(6月20日)で報告した。・・・ 2026年開催学会レポート一覧に戻る