閉塞性肥大型心筋症へのマバカムテン、5年でも有効 肥大型心筋症(HCM)における左室流出路(LVOT)閉塞は、労作時息切れなどによりQOLを大きく損なう。心筋ミオシン阻害薬マバカムテンは、既に日本を含む60カ国以上で症候性閉塞性HCM(oHCM)の治療薬として承認されているが、長期の有効性・安全性に関するエビデンスは限られる。米・University of PennsylvaniaのAnjali T. Owens氏らは、同薬を最長5年間投与した長期継続投与試験MAVA-LTEを実施。その結果、252週時にも良好な成績が得られたと欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で発表した。・・・ Aficamtenで非閉塞性肥大型心筋症の運動耐容能が改善 非閉塞性肥大型心筋症(nHCM)は有効な治療法が乏しく、労作時の息切れや易疲労感により運動耐容能が制限される。心筋ミオシン阻害薬aficamtenは、欧米などで既に閉塞性HCMの治療薬として承認されているが、nHCMに対する効果は明らかでない。米・Oregon Health & Science UniversityのAhmad Masri氏は、症候性nHCM患者を対象に第Ⅲ相二重盲検ACACIA-HCM試験を実施。その結果、aficamten投与により運動耐容能および健康状態が改善したと欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で報告した。詳細はN Engl J Med(2026年8月28日オンライン版)およびCirculation(2026年8月28日オンライン版)に同時掲載された。・・・ 70歳以上へのスタチン、心血管イベントリスク3割減 スタチンによる心血管イベント抑制効果は、脂質異常症や心血管疾患の既往例では確立されているが、心血管疾患の既往がない75歳以上の高齢者におけるエビデンスは乏しく、明確な指針は示されていない。オーストラリア・Monash UniversityのSophia Zoungas氏らは、日常生活が自立している70歳以上の高齢者を対象に、アトルバスタチンの心血管イベントおよび無病生存期間(DFS)への影響を検討する二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験STAREEを実施。その結果、プラセボ群と比べアトルバスタチン群では主要心血管イベント(MACE)リスクが3割低下したと欧州心臓病学会(ESC2026、8月28~31日)で発表した。詳細は、N Engl J Med(2026年8月29日オンライン版)に同時掲載された。・・・ 新規PET製剤が心アミロイドーシスの検出に有用 心アミロイドーシスは診断が難しく、1〜2年の診断の遅れが報告されている。99mTc標識骨シンチグラフィはトランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)を高い特異度で検出できる一方、免疫グロブリン軽鎖(AL)アミロイドーシスや早期例、まれな病型には限界があり、ALアミロイドーシスの診断には生検を要する。米・Brigham and Women's HospitalのSharmila Dorbala氏らは心アミロイドーシス疑い例を対象に、アミロイド線維と高度硫酸化ヘパラン硫酸プロテオグリカンに結合する新規放射性標識合成ペプチド124I-エブザミチドを用いた陽電子放射断層撮影(PET)/CTの有用性を検証する前向き第Ⅲ相多施設共同単群試験REVEALを実施。その結果、全体で感度94%、特異度86%と高い診断能を示し、安全性プロファイルは許容可能だったと、欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で発表した。詳細はJAMA(2026年8月30日オンライン版)に同時掲載された。・・・ TAVI後のDOAC単剤で弁尖血栓症が半減 経皮的大動脈弁留置術(TAVI)後の抗血栓療法は、抗凝固療法の独立した適応がない限り抗血小板薬1剤とすることが欧州心臓病学会/欧州心臓胸部外科学会(ESC/EACTS)のガイドラインで推奨され、非適応例への経口抗凝固薬のルーチン使用は推奨されていない(クラスⅢ推奨)。しかし、より若く健康な患者へのTAVIが広がる中で、生体弁の耐久性に関わる無症候性の弁尖血栓症の予防が課題となっている。ノルウェー・Oslo University HospitalのChristopher S. Dodgson氏らは、重症大動脈弁狭窄症に対するTAVIが成功した65〜80歳の患者を対象に、直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)単剤療法とアスピリン(ASA)単剤療法を比較するランダム化比較試験ACASA-TAVIを実施。12カ月時の低吸収弁尖肥厚(HALT)の発生率は、ASA群の28.6%に対しDOAC群では16.2%とほぼ半減して優越性が示され、安全性の主要評価項目では非劣性が示されたと、欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で発表した。結果の詳細はJAMA(2026年8月30日オンライン版)に同時掲載された。・・・ 心房細動へのアブレーション、QOL改善で優越性示せず 心房細動(AF)では、症状軽減を目的としてカテーテルアブレーション(CA)が推奨されている。しかし、CA後のQOLに関するエビデンスは非盲検試験によるものが大半で、患者が割り付け治療を認識していたことが、見かけ上の治療効果に影響を及ぼした可能性がある。ドイツ・University Hospital LeipzigのRolf Wachter氏らは、症候性AF患者を対象に、多施設共同二重盲検シャム対照ランダム化比較試験PVI-SHAM-AFを実施。AFの再発や負荷はアブレーションにより減少したものの、6カ月時におけるQOL尺度のベースラインからの変化量についてシャム群に対するCA群の優越性は示されなかったと、欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で発表した。結果の詳細はLancet(2026年8月30日オンライン版)に同時掲載された。・・・ 脳卒中の中間リスク心房細動でもDOACが有効 心房細動(AF)患者に対する抗凝固療法の適応は、脳卒中リスクの層別化に基づいて判断されるが、中間リスク患者への対応は国際ガイドライン間でも見解が分かれている。韓国・Yonsei University College of MedicineのBoyoung Joung氏は、中間リスクAF患者を対象に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)治療と非治療を比較した多施設共同ランダム化比較試験(RCT)SINGLE-AFを実施。その結果、DOACのリスク低減効果が認められたと欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で報告した。詳細は、N Engl J Med(2026年8月28日オンライン版)に同時掲載された。・・・ PCI前後のエボロクマブ、心筋梗塞の転帰改善せず 急性心筋梗塞後(AMI)の脂質管理では、経口薬でLDLコレステロール(LDL-C)目標値に到達しない場合に限りPCSK9阻害薬の追加が推奨されている。同薬導入の遅れはLDL-C管理が不十分な状態を長引かせ、早期の心血管再発イベントの抑制効果が損なわれている可能性がある。フランス・Hôpital Pitié-SalpêtrièreのGilles Montalescot氏らは、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けるAMI患者2,161例を対象に、PCI施行直前および施行後1年間のエボロクマブ上乗せ効果を検証する国際共同第Ⅳ相非盲検ランダム化比較試験AMUNDSENを実施。12カ月時にガイドライン推奨のLDL-C目標値達成率は、標準治療単独群の40%に対し、エボロクマブ群では82%と高かった一方、全死亡または心血管疾患(CVD)による予定外の入院には差がなかったと欧州心臓病学会(ESC 2026、8月28~31日)で発表した。結果の詳細はJAMA(2026年8月29日オンライン版)に同時掲載された。・・・ 2026年開催学会レポート一覧に戻る