心臓病学領域は、脂質異常症治療から心筋症、糖尿病合併心血管疾患まで、日々新たなエビデンスが蓄積し治療選択が広がりを見せる分野の1つ。今回は、エボロクマブの導入・継続が困難な超高リスク動脈硬化性心血管疾患例に対するベムペド酸の使用経験や、閉塞性肥大型心筋症に対するマバカムテンの使用経験を報告した演題の他、アジア太平洋地域の2型糖尿病患者におけるGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の心血管イベント比較、ATTR-CMの薬剤選択を巡るタファミジス・アコラミジス・ブトリシランそれぞれの立場からの議論など、最新の知見をお届けします。 ATTR-CM治療薬、アコラミジスの推しポイント 近年、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)は画像診断の進歩および疾患認知度向上に伴い診断機会が増加するとともに、疾患修飾療法の選択肢が広がっている。国内ではトランスサイレチン(TTR)四量体安定化薬のタファミジス(商品名ビンマック、ビンダケル)とアコラミジス(ビヨントラ)、低分子干渉RNA(siRNA)薬のブトリシラン(アムヴトラ)の3成分が承認されているが、有効性を直接比較したエビデンスは限られる。第74回日本心臓病学会(9月11~13日)では3剤の薬剤選択をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、札幌医科大学内科学講座循環病態内科学分野准教授の矢野俊之氏はアコラミジスを推す立場から「同薬はATTR-CM治療の初手として最も合理的な選択肢の1つだ」と訴えた。・・・ ATTR-CM治療薬、タファミジスの推しポイント 近年、トランスサイレチン型心アミロイドーシス(ATTR-CM)は画像診断の進歩および疾患認知度向上に伴い診断機会が増加するとともに、疾患修飾療法の選択肢が広がっている。国内ではトランスサイレチン(TTR)四量体安定化薬のタファミジス(商品名ビンマック、ビンダケル)とアコラミジス(ビヨントラ)、低分子干渉RNA(siRNA)薬のブトリシラン(アムヴトラ)の3成分が承認されているが、有効性を直接比較したエビデンスは限られる。第74回日本心臓病学会(9月11~13日)では3剤の薬剤選択をテーマにしたパネルディスカッションが行われ、国立循環器病研究センター心不全・移植部門心不全部の岡田厚氏はタファミジスを推す立場から「同薬は豊富なデータ、国内での圧倒的な使用経験に加え、薬価や服用の簡便さ、安全性の面でも優れた選択肢だ」と強調した。・・・ マバカムテン、大動脈弁狭窄症合併例にも有効 選択的心筋ミオシン阻害薬マバカムテンは、閉塞性肥大型心筋症(HOCM)に対する世界初の疾患特異的治療薬であり、国内外のガイドライン(GL)で推奨されている。福岡赤十字病院循環器内科の山本泰史氏は、自施設でマバカムテンを投与したHOCM患者4例を対象に有効性と安全性について検討。その結果「マバカムテンは短期間かつ安全に左室流出路(LVOT)圧較差および自覚症状を改善し、大動脈弁狭窄症(AS)合併例にも有効だった」と、第74回日本心臓病学会(9月11~13日)で報告した。・・・ GLP-1 vs. DPP-4、2型糖尿病の心血管リスクは? 2023年、米国心臓協会(AHA)が心血管・腎・代謝(CKM)症候群の概念を提唱して以降、肥満を起点として糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、心血管疾患へと進展する病態連関への関心が高まっている。2型糖尿病患者において、GLP-1受容体作動薬は心血管イベント抑制効果が示されている一方、日本を含むアジアではDPP-4阻害薬が広く使用されており、両薬の心血管イベントを比較したエビデンスは十分でない。淡海医療センター(滋賀県)循環器内科の岸森健文氏は、大規模電子カルテデータベースを用い、アジア太平洋地域の2型糖尿病患者における一次(初発)予防としてのGLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の心血管イベントリスクを比較。結果を第74回日本心臓病学会(9月11~13日)で報告した。・・・ ベムペド酸はPCSK9の「次の一手」になるか? PCSK9阻害薬エボロクマブは、スタチンとの併用により超高リスクの動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)に対する強力なLDLコレステロール(LDL-C)低下作用と心血管イベント抑制効果が示されているが(N Engl J Med 2017; 376: 1713-1722)、高額な薬剤費が導入や継続の課題となっている。一方、肝臓内のATPクエン酸リアーゼを阻害することでLDL-C低下効果が期待できるベムペド酸は、PCSK9阻害薬と比べ薬剤費を抑えられる新たな経口脂質低下薬として注目されている。今治第一病院(愛媛県)内科・循環器科部長の寺内靖順氏は、自施設において経済的理由によりエボロクマブの導入または継続が困難な超高リスクASCVD患者を含むベムペド酸導入症例を対象に、LDL-C低下効果および安全性などについて検討。結果を第74回日本心臓病学会(9月11~13日)で報告した。・・・ 2026年開催学会レポート一覧に戻る