不幸すぎる心臓 と 幸福すぎる心臓
今回紹介する論文(Eur Heart J 2016年3月2日オンライン版)は、いつもよりも幾分リラックスして読んでいただけると思う。特に込み入った解析が行われている訳でもなく、対象疾患もメジャーなものではない。ただ、血液を拍出するポンプにすぎないのだが、心臓という臓器もシンプルに見えて案外デリケートなところがあるのだな、というところを感じていただければ幸いである。
心臓の神経支配と収縮
心臓は重層的な神経支配を受けている。この辺りはうまくできていて、交感神経系が緊張すれば心拍数や収縮力が上がるようにできていて、副交感神経が賦活化すればその逆のことが起きる。この辺りのアクセルワークは実にスムーズで、そう簡単に心臓のコントロールのたがが外れることはない。
ここでポイントとなるのは心尖部の心筋の挙動である。心臓がポンプとしての機能を発揮するうえで重要なのは、なんといってもこの心尖部であり、詳細は図1を見ていただきたいが、心臓の心筋バンドは内層も外層も心尖部を中心に渦を形成していて、収縮するときは、おしぼりを絞るときのように「ギュッ」 と心尖部から心基部の大動脈弁に向かって収縮していく。当然、心筋の神経支配もこの心尖部を中心になされていて、この部分には交換神経関連の受容体、特にエピネフリン受容体が多いとされている。
図1. ブタ心筋バンドの走行(左) と 三次元MRI による左室の収縮パターン(右)。MRIの収縮パターンを見ると、心臓は心筋バンドの走行に沿って、収縮時は心尖部を中心として渦を巻くようなパターンで動いていることが分かる。

(European Journal of Cardio-thoracic Surgery 2005; 27: 191-201)
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香坂 俊(こうさか しゅん)
慶應義塾大学 循環器内科 専任講師,東京大学 公衆衛生学 (医療品質評価学講座) 特任准教授。 1997年に慶應義塾大学医学部を卒業。1999年より渡米,St Luke's-Roosevelt Hospital Center にて内科レジデント ,Baylor College of Medicine Texas Heart Institute にて循環器内科フェロー 。その後,2008年まで Columbia University Presbyterian Hospital Center にて循環器内科スタッフとして勤務。
帰国後は,循環器病棟での勤務の傍ら主に急性期疾患の管理についてテキストを執筆〔「極論で語る循環器内科 第二版 」(丸善),「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」(医学書院),「急性期循環器診療」(MEDSI)〕。2012年からは循環器領域での大規模レジストリデータの解析を主眼とした臨床研究系大学院コースを設置 (院生や研究生は随時募集中)。









