「適切性基準」のアメとムチ;カテの現場での運用は?
研究の背景:診療ガイドラインからAUCへ
診療ガイドラインは使いにくい。そもそもガイドラインというものは、大規模ランダム化比較試験(RCT)等質の高いデータを基に現場への「推奨」を示すものとされ、長らくEBMの根幹を成すものとされてきた。しかし、一般的にガイドラインの推奨でカバーできる症例は20~30%にすぎないともいわれており、早い時期からそのリアルワールド(現場の臨床)での運用の限界については指摘を受けてきた。
心臓カテーテル手技を例に挙げてみよう。バルーンやステントを用いて冠動脈の狭窄や閉塞を広げるPCI(percutaneous coronary intervention)に関してはこれまでさまざまなRCTが行われてきており、特に安定狭心症のPCIについては慎重に適応を考える必要があるとされている。COURAGE試験という有名なRCTがあるが(N Engl J Med 2015; 373: 1937-1946)、この試験の結果からは「狭窄を見つけた!」というだけで画一的にPCIを行うことは患者の長期的な予後に貢献せず、まず投薬や虚血の領域の評価を行い、その上でハイリスクと判定された症例にのみPCIを行うことがよいとされており、各国の診療ガイドラインでもその方向で推奨がなされている。
しかし、単純に「安定狭心症ではPCIを適切な症例で行いましょう」と診療ガイドラインに書いたとしても、その現場での運用は難しいだろう。「適切ってなんだ? 具体的に書いてくれ」もしくは「そんなことは既にやっているので、現場判断に口を出すな!」というレスポンスが聞こえてきそうである。そうした意見に対応するため米国で考え出されたのが適切性基準(appropriateness use criteria; AUC)の設定である。
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香坂 俊(こうさか しゅん)
慶應義塾大学 循環器内科 専任講師,東京大学 公衆衛生学 (医療品質評価学講座) 特任准教授。 1997年に慶應義塾大学医学部を卒業。1999年より渡米,St Luke's-Roosevelt Hospital Center にて内科レジデント ,Baylor College of Medicine Texas Heart Institute にて循環器内科フェロー 。その後,2008年まで Columbia University Presbyterian Hospital Center にて循環器内科スタッフとして勤務。
帰国後は,循環器病棟での勤務の傍ら主に急性期疾患の管理についてテキストを執筆〔「極論で語る循環器内科 第二版 」(丸善),「もしも心電図が小学校の必修科目だったら」(医学書院),「急性期循環器診療」(MEDSI)〕。2012年からは循環器領域での大規模レジストリデータの解析を主眼とした臨床研究系大学院コースを設置 (院生や研究生は随時募集中)。









