第二波が防げる条件、広がる条件

© Getty Images ※画像はイメージです
研究の背景:第一波は抑え込める可能性があるが、第二波は?
自身の研究である。度々宣伝をして申し訳ないが、論文を出すからには多くの方に読んでいただくことこそ大事なので、ご理解ください。
これは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミックで一躍有名になった「数理モデル」を活用したものである。慣れていない場合は、やや解釈がしんどいかもしれない。ここも重ねてご理解をお願いする次第である。
本研究は中国の武漢でCOVID-19が流行していたとき、「日本に持ち込まれたら、果たして流行は抑えられるか」という疑問を基に行ったシミュレーションだ。完成して投稿したのが2月16日。日本では入国者によるクラスターが徐々に発生し始めていたころである。その数日後に、まさかダイヤモンド・プリンセス号の「事件」に巻き込まれるとはこのときは想像すらしていなかったのであるが、それは本稿とは関係ない。関心のある方は、拙著『新型コロナウイルスの真実』(ベスト新書)をご覧ください。COVID-19に関するデマ、フェイクは数多いが、この件でもフェイクでかなり痛い目にあったので・・・。
閑話休題。
で、既にパンデミック状態になり、日本のほとんどの都道府県で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染が拡大している本稿執筆時点(2020年4月24日)、こんな論文が何の役に立つのか?と訝しむ向きもあるだろう。
しかし、実はあるのだ。この問題は常に先手、先手で先のことを考えておかねばならない。現在、日本は緊急事態宣言下にある。まだ、東京は感染が抑え込めているとは言えない状況だが、地域によっては新規患者数が減っている。例えば、僕が住む兵庫県や大阪府だ。よって、流行の第一波はうまくすれば抑え込めるかもしれない。少なくとも地域によっては。
が、パンデミックは一地域の流行終了だけでは終わらない。地球上全ての地域での流行を抑え込まねばならないのが、パンデミックの難しいところだ。既に「第一波」を乗り越えた中国や韓国、そして日本の北海道でも、「第二波」がやってきている。第二波対策も重要な問題で、準備は「今」行わねばならない。
よって、われわれのシミュレーションもまだ存在意味があるのだ。ぜひ、活用していただきたい。
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岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。
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