休校措置に効果はあったか
研究の背景:health policyをevidenceとして検証する必要性
自著論文を紹介する。日本で行われたコロナ対策としての休校措置の検証だ。
Evidence based medicine(EBM)という言葉ができて、もう30年近くになる。少なくとも、EBMという言葉を聞いたことがないという医療者はほぼ皆無となった。往時に研修医くらいだった若者たちも、もはや若者とは呼べない世代となり、EBMと聞いて露骨に嫌悪の表情を示すベテラン医師たちを説得する面倒もほぼほぼ消失した。
だが、政策決定においてはいまだに根回し、ロビー活動、利益相反、足の引っ張り合い、空気醸成、その場のノリ、声のデカさなどが幅を利かせ、どうでもよい根拠で行われることが多い。この話は、「レバ刺し禁止」の効果を検証した論文を紹介したときに述べた。(関連記事「レバ刺し禁止は効果なし」)
とはいえ、近年になってようやく日本でもevidence based health policyなる言葉が流行しつつある。自分たちの施行した政策に効果はあったのか、なかったのかをきちんと「エビデンス」として検証する。効果の認められたエビデンスがある政策を採用し、効果のないものは採用しないというアウトカム志向の政策決定である。もっとも、実際にそれが行われたという事例を目にすることはほとんどないが。
では、3月の休校措置に効果はあったのか。それとも、なかったのか。
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岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。
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