10年後に伝えたい福島の「正の遺産」
越智 小枝
2011年の東日本大震災発生から10年がたった。2万人超の直接死、5,000人超の関連死を生んだこの大災害を風化させまいと、当時を繰り返し再現し、語り継ぐ人は多い。しかし、歴史は語り継ぐだけで後世まで残る資産となりうるのだろうか。文芸評論家の小林秀雄は第二次世界大戦後の戦争体験の発信について、『直感を磨くもの:小林秀雄対話集』の中で次のように述べている。「深刻な体験をした人は、体験を買い被るね。(中略)人生は二度読めない。二度読めるのは思想です」。第二次世界大戦と同様、東日本大震災を体験した方々もまた、その強烈な記憶を風化させたくない気持ちはあるだろう。だが出来事を再現することにばかりとらわれた結果、後世の人間が二度と読みたくない物語になってしまっては意味がない。東日本大震災は、その悲しみが薄れた今だからこそあらためて学ぶことができる物語だ。本稿ではそのような物語の中から、われわれ医療者に残された「正の遺産」のうち4つを紹介する。
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越智 小枝(おち さえ)
相馬中央病院、大町病院(いずれも内科非常勤)、東京慈恵医大臨床検査医学講座准教授。
1999年、東京医科歯科大学卒業。国保旭中央病院(千葉県旭市)などで研修後、東京医科歯科大学膠原病・リウマチ内科勤務。都立墨東病院での臨床経験を通じ公衆衛生学に興味を持ち、2011年10月英・Imperial College London(School of Public Health)に留学。渡英前の同年3月11日に発生した東日本大震災の被災体験により、災害公衆衛生に関心を持ち、福島県相馬市の仮設住宅での健診活動などに従事。世界保健機関(WHO)や英国公衆衛生局(PHE)で研修を受ける。福島県内2施設〔相馬中央病院(2013年11月〜)、大町病院(2019年4月〜)〕に非常勤として勤務。2017年から東京慈恵医大に勤務し、21年2月から現職。国際環境経済研究所の公式サイトでコラムを連載中。









