コロナ・イングランド型変異株の死亡リスク

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研究の背景:日本も含め世界で広がるイングランド型変異株

 日本で、そして世界で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)変異株の拡大が問題となっている。変異株を論じるときのポイントは多々あるが、特に注意すべきは、

1.感染しやすさが変わるか

2.臨床アウトカム(死亡リスクなど)が変化するか

3.ワクチンの効果が変ずるか

である。今回紹介する論文は、日本で増えているイングランド型変異株の死亡リスクを吟味した論文だ。

 2020年12月に英・イングランドで見つかり、9月から存在していることが分かったSARS-CoV-2の変異株B.1.1.7は、後に懸念変異株variant of concern(VOC-202012/1)と命名された。英国は11月から2度目のロックダウンを実施していたのだが、その間にこれが一気に広がり、12月には新規感染の4分の3を占めるようになっていた。慌てて渡航を禁止したりしたのだが、既に米国など多くの国に輸出されてしまっている。日本も例外ではない。

 英国ではゲノムシークエンシングだけではなく、マルチプレックス・ターゲットPCRで従来株と変異株を区別できるようになっている。また、Thermo TaqPathシステムを用いて、S遺伝子陰性かつ、N遺伝子とORF1ab遺伝子陽性の場合はVOCとの関連が強く、これをもって変異株検査の代わりになるのだそうだ。

 VOC-202012/1には14の突然変異があり、うち8つがスパイク蛋白のものだ。これによって細胞結合メカニズムに変化が生じ、感染が起きやすくなっていると考えられている。ただし、死亡などの臨床アウトカムについてはまだ吟味が行われていなかった。その点を調べたのが本研究である。

Challen R, et al. Risk of mortality in patients infected with SARS-CoV-2 variant of concern 202012/1: matched cohort study. BMJ 2021 Mar 9; 372 n579. doi: 10.1136/bmj.n579.

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