重症コロナと血液培養

※画像はイメージです
研究の背景:血液培養がルーティンになった?時代のコンタミ問題
昔話になるが、米国での研修医生活を終えてからどうしようか、と悩んで、日本の大学病院を幾つか訪問したことがある。いずれも有名な病院だったが、診療の質がとても低くていたく失望した。何より驚きだったのは、血液培養が全く取られていなかったことだ。巨大な大学病院全体で取られている血液培養が、ホテルのミニバーのような小さな場所で培養されていて絶句した。日本の病院は、感染症の診断に全く興味がないのだと思った。血液検査で炎症マーカーが高ければ、何か適当に抗菌薬を出して、治った、治らないと一喜一憂する、まるで博打のような診療をしていた。「これじゃ、とても日本には帰れない。感染症のプロが帰国しても意味はないだろう」と思い、結局、北京の診療所の医者になった。亀田総合病院(千葉県)に呼ばれなければ、そのまま中国で今も診療所の医者をやっていたかもしれない。
現在も日本は感染症先進国とは到底いえないし、専門家の数も質も十分とはいえない。日本の多くの病院がコロナ診療を拒んだが、その理由の1つに「専門家の不在」がある。業界の人間としては反省するしかない。それでも、感染症のプロなどほとんど存在していなかった2004年(僕が帰国した年)に比べれば、現在は優秀な若手感染症医が相当数いて各地で活躍している。血液培養をちゃんと取る病院もそう珍しくはなくなった(取らない病院との格差が開いてはいる、が)。
そこで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行下の血液培養である。今回紹介する論文は、新型コロナ時代の血液培養のコンタミネーション問題を論じたものだ。20年前のように「血液培養なんて取らないのが当たり前」の時代には、存在しえなかった研究といえるだろう。
Ohki R, Fukui Y, Morishita N, Iwata K. Increase of blood culture contamination during COVID-19 pandemic. A retrospective descriptive study. Am J Infect Control. 2021 Nov;49(11):1359-1361.
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岩田 健太郎(いわた けんたろう)

1971年、島根県生まれ。島根医科大学卒業後、沖縄県立中部病院、コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院、アルバートアインシュタイン医科大学ベスイスラエル・メディカルセンター、北京インターナショナルSOSクリニック、亀田総合病院を経て、2008年より神戸大学大学院医学研究科教授(微生物感染症学講座感染治療学分野)・神戸大学医学部付属病院感染症内科診療科長。 著書に『悪魔の味方 — 米国医療の現場から』『感染症は実在しない — 構造構成的感染症学』など、編著に『診断のゲシュタルトとデギュスタシオン』『医療につける薬 — 内田樹・鷲田清一に聞く』など多数。
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