ケタミンは画期的な抗うつ薬となるか?
ECTとのRCTのメタ解析から
研究の背景:世紀の大発見? ケタミンに即効的な抗うつ効果
ケタミンは即効的な抗うつ効果を有することから期待が高まり、神経精神薬理学領域においてクロルプロマジン以来の大発見である、とまでいわれている(関連記事『治療抵抗性うつ病、次世代薬の開発進展』)。
現在ケタミンは麻酔薬として用いられているが、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体阻害作用を持つ。そこでうつ病のグルタミン酸仮説に基づいて、NMDA受容体阻害作用を持つ低用量のケタミンがうつ病治療に有効なのではないか、として効果が調べられた。その結果、静脈注射後2時間以内という、抗うつ薬とは全く異なるタイムコースで効果が示された上、1週間程度効果が持続すると報告され、注目を集めた(Arch Gen Psychiatry 2006; 63: 856-864)。
ただし、このNMDA受容体阻害作用は、統合失調症様症状を引き起こすことが知られているフェンサイクリジン(PCP)と同様であり、ケタミンも幻覚などの副作用が知られているため、両刃の剣ではある。とはいえ、1時間以内に効果を発揮するとなれば、自殺が切迫したケースなどで速効性のある治療法として、電気痙攣療法(ECT)に取って代わるのではないか、と期待がかかっていた。
米国では、米食品医薬品局(FDA)がうつ病に対しては承認していないケタミンを静脈注射する「ケタミンクリニック」が多く存在する。
この特許が切れた薬であるケタミンのうち、NMDA受容体阻害作用を持つ光学異性体であるS体を用いて、鼻腔内投与するエスケタミンスプレーが米国では既に承認されているが、残念ながら日本の臨床試験では失敗している(BMC Psychiatry 2021; 21: 526)。
ケタミンはECTに取って代わる治療法にはならないのだろうか?
今回紹介する論文は、ケタミンとECTを直接比較した研究のシステマチックレビューおよびメタ解析である(JAMA Psychiatry 2023年4月12日オンライン版)。
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加藤 忠史(かとう ただふみ)
順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。
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