定説「COPDにバイオは無効」の現在地
デュピルマブの臨床試験から
研究の背景:呼吸器領域のバイオは全て喘息に保険適用、COPDには適応なし
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、主に喫煙によって起こる肺胞の破壊が原因で起こる慢性呼吸器疾患である。喫煙歴があり1秒率が70%以下になることでCOPDと診断されているが、喘息とは違い、気道可逆性のないことが特徴である。喘息はアレルゲンなどの吸入抗原などによって起こる炎症性疾患であるが、吸入β2刺激薬によって1秒率低下が一時的に回復することがある。これを気道可逆性と呼んでいる。
呼吸器領域における生物学的製剤(バイオ)は、全て喘息に保険適用があり、COPDに適応のあるバイオは存在しない。現在上市されているものは、オマリズマブ(商品名ゾレア)、メポリズマブ(同ヌーカラ)、ベンラリズマブ(同ファセンラ)、デュピルマブ(同デュピクセント)、テゼペルマブ(同テゼスパイア)の5剤である(表)。「COPDにそもそもバイオは効かない」が定説であったが、実はこれら喘息に用いられるバイオについて、COPDでもこれまで検討されてきた歴史がある。
表. 喘息に用いられる生物学的製剤

(倉原優氏作成)
末梢血好酸球数が150/μL以上で、トリプル吸入療法〔吸入ステロイド薬(ICS)/吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)/吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA))〕を行っても増悪が抑制できない重症COPD患者において、メポリズマブはプラセボと比較して増悪率をわずかに低下させた(METREX試験:率比0.82、95%CI 0.68~0.98、METREO試験:同0.80、0.65~0.98、N Engl J Med 2017;377:1613-1629)。また、前年度に3回以上の増悪があり、トリプル吸入療法を使用していて、かつ末梢血好酸球数が220/μL以上という条件のサブグループにおいても、ベンラリズマブの有意なCOPD増悪抑制効果が認められている(Lancet Respir Med 2020; 8: 158-170)。
今回紹介するのは、デュピルマブの有効性を検証した臨床試験である(N Engl J Med 2023年5月21日オンライン版)。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










