COPD吸入薬、8割が正しく吸えていない
研究の背景:吸入アドヒアランスは永遠のアンメットニーズ

写真:pMDI吸入のエラー(倉原優氏作成)
上の写真に示すような吸入薬の吸入エラーは日常茶飯事、というほどもないが時折目にする。昔と比べて、現在は吸入指導がかなり標準化されており、調剤薬局でしっかり指導いただいていると思う。
呼吸器内科の臨床においては、吸入薬を適切に吸入できているかどうか、吸入アドヒアランスが重要になる。用法用量を守って吸入することも重要であるが、正しい吸入手技であるかどうかもアドヒアランスの定義に含まれる。吸入薬によっては「吸入前に振る必要がある」「試し打ちが必要」「空気口をふさがないようにする」など注意点はかなり多い。そのため、吸入薬ショッピングをせずに、1つのデバイスをゆっくりマスターしてもらう方が治療効果は高いと考えている。
少し古いが、国内のデータでは吸入薬のアドヒアランスは低いとされており、「指示を守って使用している割合」についてはせいぜい40%くらいと見積もられている(図、Respir Med 2007; 101: 1895-1902)。
図. 吸入薬のアドヒアランス

(Respir Med 2007; 101: 1895-1902)
現在はこの数値より改善しているかもしれないが、それでも呼吸器内科で一番苦労するのが吸入アドヒアランスの維持である。これは永遠のアンメットニーズである。
前述したように、吸入アドヒアランス不良はいろいろな原因で起こる。その中でも、吸入手技エラーはできれば避けたいところである。
吸気不足という問題は過去何度も議論されてきた。加圧式定量噴霧器(pMDI)であればそう問題にならないが、ドライパウダー吸入器(DPI)においては、ある程度の吸気流速が必要とされている。これが不十分だと、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のコントロール不良を招く(Am J Med 2009; 122: 348-355)。
喘息やCOPDに対する吸入薬が適切に吸えていないという研究はおそらくたくさんあるため、紹介するとキリがないが、今回は非常に多数の被験者を用いた多国間観察研究PIFotalを取り上げる(BMC Pulm Med 2023; 23: 302)。
全文を読むにはログインが必要です
ログインして全文を読む
無料でいますぐ
会員登録を行う
- ご利用無料、14.5万人の医師が利用
- 医学・医療の最新ニュースを毎日お届け
- ギフト券に交換可能なポイントプログラム
- 独自の特集・連載、学会レポートなど充実のコンテンツ
\ 60秒でかんたん登録 /
会員登録
倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。










