うつ病へのケタミン、静注なら有効か?
研究の背景:RCTの結果にはプラセボ効果が関与している可能性
本連載で以前、①「世紀の大発見」とされてきた、うつ病に対するケタミンの効果が電気痙攣療法(ECT)には劣る可能性がある、②光学異性体であるエスケタミンの点鼻薬の有効性が日本における治験では検証できず撤退した、③うつ病に対する効果が期待されたもう1つの光学異性体であるR-ケタミンの臨床試験も有効性が検証できなかった―ことなどから、ケタミンへの期待がしぼみつつある状況についてご紹介した(関連記事「ケタミンは画期的な抗うつ薬となるか?」)。
とはいえ、これらのエビデンスは、うつ病に対するケタミンの静脈注射(静注)の効果を否定するものではない。実際、米国には保険適応外のケタミンを自由診療で静注する「ケタミンクリニック」が多く存在している。
日本でも同様に、ケタミンを保険適応外のうつ病に対して静注するクリニックが登場しているようであり、今後、事態がどのような方向に進むか予断を許さない状況にある。
別の機会には、幻覚性キノコの成分であるシロシビン(psilocybin)についても、うつ病に対する速効性が報告されている一方、臨床試験論文にサイケデリック体験の副作用についての記載がなく、この治療法がうつ病治療の救世主なのか、あるいは中世の魔術的な治療の再来なのか、見守る必要がある、と紹介した(関連記事「幻覚性キノコ成分でうつ病治療の可能性」)。
ケタミン静注の効果は、二重盲検ランダム化比較試験(RCT)により検証されているものの、ケタミンもシロシビン同様、幻覚体験や解離症状などの急性精神作用を引き起こすため、こうした体験により盲検性が失われ、プラセボ効果が関与している可能性は考えられる。
今回ご紹介するのは、この問題に取り組んだ研究で、Nature Mental Healthという昨年(2023年)1月に創刊されたばかりのジャーナルに掲載されたものである(Nature Mental Health 2023; 1: 876-886)。
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加藤 忠史(かとう ただふみ)
順天堂大学精神医学講座主任教授。1988年東京大学医学部卒業、同病院で臨床研修、1989年滋賀医大精神医科大学講座助手、1994年同大学で医学博士取得、1995年米・アイオワ大学精神科に留学(10カ月間)。帰国後、1997年東京大学精神神経科助手、1999年同講師、2001年理化学研究所脳科学総合研究センター精神疾患動態研究チームリーダー、2019年理化学研究所脳神経科学研究センター副センター長を経て、2020年4月から現職。
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