COPDへの吸入ステロイドに菌の定着リスク
研究の背景:COPD最強のトリプル吸入療法だが、ICSを躊躇するケースも
安定期の慢性閉塞性肺疾患(COPD)に対するキードラッグは、長時間作用性抗コリン薬(LAMA)あるいは長時間作用性β刺激薬(LABA)である。1秒量の底上げや増悪率の低減から、どちらかといえばLAMAの方を優先して用いることが多い。
個人的には、外来COPD患者に対してはLAMAとLABAの配合剤を初手で使用することが多い。現在日本で使用可能なLAMA/LABAは表1の通りである。4社から発売されており、それぞれ吸入デバイスも吸入方法も異なる。患者にとって使いやすい製剤を処方するのが鉄則である。
表1. 現在日本で使用可能なLAMA/LABA

ここに吸入ステロイド薬(ICS)を加える処方がCOPDの最強の「トリプル吸入療法」となるわけだが、LAMA/LABAにICSを同一デバイス使用下で加えることができるのは、アノーロ→テリルジー、ウルティブロ→エナジアの2剤のみである(表2)。しかし、残念ながらエナジアについてはCOPDに対する保険適用がなく、同一デバイスでCOPDに対して、これらのステップアップ・ステップダウンができるのはアノーロ・テリルジーだけというのが現状である。
表2. 現在日本で使用可能なLAMA/LABA/ICS

(表1、2とも倉原優氏作成)
ICSは喘息のキードラッグであるが、COPDに対してもICSがあった方が1秒量を底上げしたり、増悪が減ったりというメリットがあるという見解も存在する。特に、末梢血好酸球数が300/μLを超えるようなアレルギー性の病態を有するCOPDの場合、ICSの使用によって増悪を予防することが可能だ。
現在の安定期COPDに対する吸入治療について、国際診療指針であるGOLD 2024を振り返ってみよう(図1)。複数回増悪を繰り返す症例で、喘息コンポーネントが強い症例にICSを上乗せで用いることが推奨されている。
図1.安定期COPDの吸入治療に対する指針

(2024 GOLD Reportを基に倉原優氏作成)
しかし臨床現場では、COPDへのICSの処方を躊躇するケースが存在する。
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倉原 優 (くらはら ゆう)
国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科医師。2006年、滋賀医科大学卒業。洛和会音羽病院での初期研修を修了後、2008年から現職。日本呼吸器学会呼吸器専門医、日本感染症学会感染症専門医、インフェクションコントロールドクター、音楽療法士。自身のブログで論文の和訳やエッセイを執筆(ブログ「呼吸器内科医」)。著書に『呼吸器の薬の考え方、使い方』、『COPDの教科書』、『気管支喘息バイブル』、『ねころんで読める呼吸』シリーズ、『本当にあった医学論文』シリーズ、『ポケット呼吸器診療』(毎年改訂)など。









