抗VEGF療法に代わる?mRNAワクチンの可能性

患者負担の少ない新規治療法開発への期待

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする
感染症ビジョナリーズ 感染症ビジョナリーズ

研究の背景:大きな「負担」が課題の抗VEGF療法

 加齢黄斑変性(AMD)や糖尿病網膜症(DR)などで生じる網膜脈絡膜新生血管(retinochoroidal neovascularization;NV)に対する抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法は、その登場以来、視機能温存の切り札となってきた。しかし、15年以上継続されてきたこの治療は、失明予防に大きく貢献した一方で、患者および医療現場に多大な負担を強いている事実は否定できない。頻回の硝子体内注射が求められ、経済的・時間的コストの増大、さらには患者が感じる「眼に針を打たれる恐怖」や合併症のリスクも問題となってきた。こうした現状を受け、より少ない負担で安定した効果が得られる新規治療法の探索は、眼科の最重要課題の1つである。

 本稿では、私が携わるmRNAワクチン研究の成果および最新の研究論文(Vaccine 2025; 61: 127451)を踏まえ、眼科領域における未来の治療戦略を展望する。

  • Facebookでシェアする
  • Medical Tribune公式X Xでシェアする
  • Lineでシェアする